車を運転していると、ふとした瞬間に「ゴー」「ゴロゴロ」「ブーン」といった異音が聞こえてくることがあります。特にアクセルを踏んだときに後ろから低い音が響くような感覚があると、「これって故障?放っておいて大丈夫?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
異音の原因は、マフラーや排気系、タイヤ・足回りの摩耗、さらには駆動系のトラブルまで多岐にわたります。
音の種類や発生箇所によって、異音の正体をある程度絞り込むことも可能です。
この記事では、アクセルを踏んだときに「ゴー」と異音がする原因と、その対処法を徹底解説。
さらに、車種別のトラブル事例や応急処置の方法、修理費用の目安までわかりやすく紹介します。
異音に気づいたときの正しい対応を知っておけば、重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
アクセルを踏むと「ゴー」と異音が聞こえる原因とは?
車を走らせていて、アクセルを踏んだ瞬間に「ゴー」という低い音が響いてくると、思わず不安になるものです。このような異音にはいくつかの原因が考えられますが、共通して言えるのは「何かしらの摩耗や不具合が生じている可能性がある」という点です。
ここでは、異音の正体と考えられる主な原因について詳しく見ていきましょう。
「ゴー」と聞こえる音の正体とは?
「ゴー」という音は、空気や金属、振動の共鳴によって発生することが多く、排気音や足回りの回転部品が関係していることがほとんどです。
特に低速〜中速での加速時に発生する「うなるような音」は、エンジンの回転数上昇とともに排気量やタイヤの摩耗状況が関係しているケースがあります。
エンジン内部の異常というよりは、車体の下部や後方に原因がある場合が多く、音の位置や大きさによっても特定に役立ちます。「なんとなく重低音がする」という曖昧な印象でも、早めに点検してもらうことが安心につながります。
マフラー・排気系トラブルの可能性
「ゴー」という異音の原因として非常に多いのが、マフラーや排気系のトラブルです。
マフラーの取り付け部が緩んでいたり、腐食によって排気漏れを起こしている場合、アクセルを踏んだ際に排気圧が増して「ボー」「ゴー」といった音が出ることがあります。
排気漏れは走行性能や燃費にも影響を与えるほか、車検にも通らなくなる可能性があります。
とくに10年以上経過した車両や雪道・海沿いなどで使用している車は、サビによる腐食リスクが高いため要注意です。
マフラーの亀裂や排気漏れの診断は、ジャッキアップして下回りを確認する必要があります。
タイヤやハブベアリングなど足回りの劣化
足回りに問題がある場合も、「ゴー」「ゴロゴロ」といった音がアクセル時に聞こえることがあります。とくにハブベアリングが摩耗していると、タイヤの回転に合わせて低い振動音が発生します。
加速時に音が大きくなり、減速時にやや静かになる傾向があるのも特徴です。
また、タイヤ自体が偏摩耗していると、路面との接触音が大きくなり「ゴー音」に感じられることもあります。
空気圧の不足やバランスの乱れも異音の原因になりますので、タイヤ交換やローテーションのタイミングでも点検しておくとよいでしょう。
駆動系(ドライブシャフト・ホイールベアリング)の異常
駆動系に関する異音も、アクセルを踏んだ際に「ゴー」という音となって表れやすい箇所です。
特に前輪駆動車では、ドライブシャフトに取り付けられたCVジョイントが劣化・損傷すると、加速時に振動をともなう異音が発生します。
また、ホイールベアリングの劣化や潤滑不良も、アクセル時に「ゴー」「ゴロゴロ」といった持続音の原因になります。
こうした異音は、走行時の速度やステアリング操作と連動して音の変化がみられる点も特徴です。
放置すると駆動系統へのダメージが拡大するため、早期点検が重要です。
異音が出るのは加速時?減速時?症状の切り分けポイント
異音の発生タイミングによって、原因の特定がしやすくなります。
たとえば「加速時にだけ異音がする」場合は、排気系・駆動系・足回りの負荷増加による問題が多く、「減速時に音がする」場合は、ブレーキやサスペンションの動作に原因があることが考えられます。
また、アクセルを一定に保った状態で異音が続く場合は、常時回転している部品(ベアリングやファン、プーリーなど)の劣化が疑われます。
異音の発生タイミングや継続性を把握することで、整備士に相談する際のヒントにもなります。
異音の種類別に見るトラブルの傾向と診断
「ゴー」といった異音に限らず、車から聞こえてくる音は種類によって原因が異なります。
音の高さや継続時間、音源の位置などからある程度の絞り込みが可能です。
この章では、異音の種類ごとに考えられるトラブルの傾向や、診断時の着目ポイントを解説していきます。
「ゴー」「ゴロゴロ」「ウォーン」など重低音系の異音
低く響くような異音は、主に次のような部位から発生することが多いです。
・タイヤの偏摩耗や空気圧不足
・ハブベアリングやホイールベアリングの劣化
・駆動系(ドライブシャフト・デフ)の損傷や潤滑不良
重低音系の異音は「振動音」として感じられることもあり、路面状況によって音の強弱が変化するのが特徴です。
音源を特定するには、走行時の速度変化やアクセルの踏み込み具合を観察することが大切です。
「キュルキュル」「キーキー」など高音系の異音
高音の異音は回転系のパーツに問題があるケースが多く、以下のような要因が考えられます。
・ブレーキパッドの摩耗や異物混入
・ブレーキローターの偏摩耗やサビ
・プーリーやテンショナーの不良
「キュルキュル」という音はベルトが滑っているときの典型的な音で、特にエンジン始動直後や雨天時に多く見られます。
高音が断続的に続く場合は、ベルト交換や調整が必要となるケースが多いです。
「ボー」「ブーン」といった曖昧な異音の分類方法
異音の中でも「ボー」「ブーン」など曖昧な音は判断が難しく、空気の共鳴音や風切り音と勘違いされることもあります。これらの音が聞こえるときには以下の点を確認してみましょう。
・トランクやリアハッチのゴムパッキンに劣化がないか
・エンジンルーム内のエアクリーナーやホース類の緩みがないか
また、風の強い日や高速道路走行中に強く聞こえる場合は、車体形状に起因するノイズである可能性もあります。
異音が出る場所(前・後ろ・下回り)を特定するコツ
異音の位置を把握することも診断には非常に重要です。
特に以下のように分類すると、整備士への説明もしやすくなります。
・下回りからの異音 → 排気系、足回り、駆動部
・後方からの異音 → マフラー、後輪ハブ、リアブレーキ
音源を特定するためには、窓を少し開けた状態や同乗者の協力を得て確認するのも有効です。
さらにスマートフォンの録音機能を使って音を記録し、整備士に聴かせると判断がスムーズになる場合もあります。
実際の車種ごとの異音トラブル事例
アクセルを踏んだときに「ゴー」という異音がする症状は、多くの車種で報告されていますが、車の種類や構造によっても原因や対処法に違いが出てきます。
ここでは、実際のユーザー事例をもとに、代表的な車種別のトラブルと対処のポイントを紹介します。
ワゴンRでアクセル時にゴー音がする場合
スズキのワゴンRは軽量で燃費性能に優れた人気車種ですが、10万km以上走行した車両では、ハブベアリングの劣化による「ゴー」という異音が出ることがあります。
加速時やカーブを曲がるときに振動を伴うような音がする場合、足回りの点検が必要です。
また、リア側のショックアブソーバーやブッシュ類がへたってくると、後ろから「ゴー」という共鳴音のような異音がすることもあります。
これらは比較的修理費も安く済むことが多いため、早めの対処が安心です。
アクアで加速中に異音が聞こえる原因
トヨタのアクアでは、加速中に「ブーン」「ゴー」といった音が聞こえるという相談が多く寄せられています。原因としては、エンジンとモーターの切り替え時に発生する振動音や、エンジンルーム内の遮音材の劣化が考えられます。
また、アクアはエンジンルームがコンパクトな設計のため、ベルトやプーリー周辺の部品が摩耗していると異音が増幅されやすい傾向にあります。
ハイブリッド車特有の静音性ゆえに、通常なら気づかないような小さな音も目立って感じられることがあります。
ハイブリッド車ならではの異音の特徴
ハイブリッド車全般にいえることですが、エンジン停止中でもモーターだけで走行することができるため、通常の車では聞こえない異音が目立つことがあります。
たとえば、回生ブレーキ作動時や低速加速中に「ウィーン」「ブーン」といった音がするのは、正常な動作音である場合もあります。
ただし、以下のような症状がある場合は点検をおすすめします。
・加速時に異音が強くなる
・アイドリング時に振動を感じる
ハイブリッド車は高電圧部品も関わるため、異音に不安を感じたら専門店での診断が安心です。
軽自動車に多い異音とその対処法
軽自動車では、エンジンルームが狭いため熱がこもりやすく、熱による部品の劣化が進みやすい傾向があります。
特に多いのが以下のようなトラブルです。
・ドライブシャフトのブーツ破れによる異音
・ハブベアリングの寿命による「ゴー音」
これらは走行距離が伸びることで発生しやすくなります。
小さな異音でも早期に修理すれば、1万円〜3万円程度で済むことが多いため、日頃から音の変化に敏感になっておくと安心です。
アクセル踏むと異音がする時の対処法と応急処置
異音が聞こえると、つい「まだ走れるし大丈夫かな」と放置しがちですが、実はそれがさらなる故障の引き金になることも。
音の原因によっては簡単な対処で収まることもありますが、重大なトラブルを未然に防ぐためにも、基本的な対処法と応急処置を理解しておくことが大切です。
自分でできるチェックポイント
異音が発生した際は、まず以下のような点を自分で確認してみましょう。
・ 加速・減速・停止時など、いつ音が出るか記録する
・ タイヤやホイールに異常(ぐらつき・ヒビなど)がないか確認する
・マフラーの取付がゆるんでいないか目視する
・リザーバータンクや下回りにオイル漏れがないか確認する
これらは専門的な工具がなくても点検できる項目です。可能であれば音を録音しておくと、後の整備時に役立ちます。
潤滑剤や増し締めで改善する場合
部品のゆるみや潤滑不足が原因の場合、比較的簡単な処置で音が改善することもあります。
たとえば以下のような方法があります。
・ドアやトランク周辺のヒンジへのグリス塗布
・マフラーハンガー部分への耐熱グリス使用
ただし、足回りや駆動部など走行に直接関わる部分は無理に手を出さず、異音の範囲が限定されている場合に限って自己判断で対応するようにしましょう。
異音を放置すると起きるリスク
「音が出るけど走れるから」と放置してしまうと、以下のようなリスクが発生する恐れがあります。
・マフラーの排気漏れにより、車検に通らなくなる
・ドライブシャフトの破損により、駆動力を失って立ち往生
・ブレーキ系異音の放置による制動力低下
最悪の場合、事故につながる可能性もあります。
異音は「車からのSOS」と捉え、早めの点検を心がけましょう。
異音が突然消える場合の注意点
一時的に異音が消えたとしても、「直った」と判断するのは早計です。
実際には次のような原因で一時的に音が出なくなることもあります。
・異音の原因部位が一時的に正常な位置に戻った
・振動条件が変化して音が聞こえづらくなった
こうした場合でも、再発の可能性が高いため、一度異音を確認した時点で点検しておくのが安心です。特に同じような状況で再び音が出た場合は、根本的な原因を突き止めて修理する必要があります。
異音に関わる修理費の相場と業者選びのポイント
異音の原因が判明したとしても、気になるのはやはり「修理にどれくらい費用がかかるのか」という点ではないでしょうか。
修理箇所や車種、依頼する業者によって金額は大きく変わります。
この章では、主な修理項目ごとの費用目安や、依頼先の選び方について解説します。
マフラー・足回りの修理費用の目安
排気系や足回りの修理では、損傷の程度によって費用が大きく異なります。
以下に主な修理項目の相場を表にまとめました。
修理項目 | 費用相場(目安) |
---|---|
マフラーの排気漏れ補修 | 5,000〜15,000円 |
マフラー交換(部分) | 15,000〜30,000円 |
ハブベアリング交換 | 20,000〜35,000円 |
ショックアブソーバー交換 | 1本あたり10,000〜20,000円 |
軽度な異音であれば1万円以内で済むこともありますが、部品交換を伴うと費用は上がる傾向にあります。
ディーラーとカー用品店の料金比較
修理を依頼する場合、選択肢としては以下の3つが主流です。
・民間整備工場:料金は中間、柔軟な対応が魅力
・カー用品店(オートバックスなど):軽作業向きで安価だが対応範囲に限りあり
たとえば、マフラーの交換ではディーラーだと純正部品使用で3〜5万円かかることもありますが、整備工場ではリビルト品や社外品の使用で2万円以内に収まることもあります。
費用だけでなく、信頼性や保証の有無も比較しましょう。
修理より買い替えを選ぶべきケース
修理を重ねるよりも、いっそ買い替えを検討したほうが良い場合もあります。
次のようなケースが該当します。
・異音の原因が複数個所に及ぶ
・修理総額が10万円を超える見込み
特に古い車では、1か所直しても他の部品が次々に劣化していくこともあります。
査定額があるうちに手放し、乗り換えたほうが長期的にコスパが良くなる場合も多いです。
整備士に相談する際に伝えるべき内容
異音の診断をスムーズに行ってもらうには、次のような情報を事前に整理しておくと効果的です。
・音の種類(ゴー、キュルキュル、カタカタなど)
・音が出る位置(前・後・下など)
・天候や気温との関係(雨の日に出やすいなど)
・音が出始めた時期・きっかけ
これらの情報があれば、整備士は原因を絞り込みやすく、無駄な分解作業や点検を避けられます。
可能であればスマホで音を録音しておくのもおすすめです。
よくある質問(FAQ):アクセル時の異音に関する疑問
アクセルを踏んだときの異音は、明らかな故障でなかったとしても気になりますよね。
この章では、読者から寄せられることが多い疑問をQ&A形式で解説し、安心につながる情報をお届けします。
音がしても走れるけど本当に大丈夫?
「走行には問題なさそうだから」と異音を放置してしまうケースは少なくありません。
しかし、音がしているということは、何かしらのパーツが劣化・損傷しているサインです。
放置することで以下のようなリスクが生じます。
・修理費用がかさんでしまう
・車検に通らなくなる
短距離の走行でもトラブルが進行する場合があるため、早めの点検をおすすめします。
車検に通るかどうか心配…異音の影響は?
車検では「保安基準に適合しているか」が確認されます。
異音が次のような状態に該当する場合、車検に通らない可能性があります。
・ブレーキ系統からの異常音
・サスペンション・ステアリングのガタつき音
明確な異音がある場合は、事前に整備工場で点検・整備を行い、車検に備えておくのが安全です。
異音が一時的に消えるのは正常なこと?
異音が突然消えると「直ったかも」と思ってしまいがちですが、注意が必要です。
以下のようなパターンで一時的に音がしなくなることがあります。
・潤滑油が温まって一時的に摩擦が減った
・異常が再発する前兆(不安定な状態)
一時的な静音状態に安心せず、気になる場合は早めに専門業者で点検してもらうようにしましょう。
後部からの異音はリアブレーキが原因?
アクセル時に後部から「ゴー」「ガラガラ」などの音がする場合、リアブレーキの不具合が疑われることがあります。主な原因は以下の通りです。
・ブレーキパーツのサビや異物混入
・サスペンション周辺部品の劣化
軽自動車や年式の古い車で起きやすい症状で、ブレーキ系統の異音は放置すると危険です。
後部からの音が目立つ場合は、早めにリフトアップしての点検が必要となります。
まとめ
アクセルを踏んだときに「ゴー」と異音がする現象は、車の異常を知らせる大切なサインのひとつです。
原因としてはマフラーや排気系、足回り、駆動系など多岐にわたり、音の種類や発生場所によって対処法も異なります。
中には軽度なトラブルで済むケースもありますが、放置することで安全性の低下や修理費用の増加につながる恐れもあるため、注意が必要です。
とくに走行中に異音がする、後部から音が聞こえる、異音が徐々に大きくなるといった場合は、早めに整備士へ相談することをおすすめします。
また、車種によって異音の出やすさや傾向も異なるため、過去の事例や症状を参考にして、自分の車の状態を冷静に判断することが大切です。
「いつもと違う」と感じたら、それは車からの警告かもしれません。
日頃から音や振動に気を配り、小さな異変にも敏感になることで、大きなトラブルを未然に防ぐことができるはずです。
安全なカーライフのためにも、異音を軽視せず、確実な点検と早めの対応を心がけましょう。