CVTにATFを入れるとどうなる?故障リスクと正しいオイルの選び方を徹底解説

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cvtにatfを入れると 車のメンテナンス

「CVTにATFを入れてしまったかもしれない…」「CVTとATって何が違うの?」

車のオイル交換や補充の際、間違ってATF(オートマチックトランスミッションフルード)をCVT車に入れてしまうミスは、実は珍しくありません。

見た目が似ているだけでなく、「AT=オートマ」とざっくり覚えていると、ついうっかり使ってしまうケースもあるようです。
しかし、CVTとATでは構造がまったく異なるため、オイルも完全に別物。

間違ったオイルを使用すると、トランスミッション内部に深刻なダメージを与えてしまうこともあります。
この記事では、「CVTにATFを入れるとどうなるのか?」という疑問に対し、その影響、対処法、オイル選びのポイントまで初心者にもわかりやすく解説します。

 

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CVTとATの違いとは?

まずは、CVT(無段変速機)とAT(オートマチックトランスミッション)の違いを簡単に整理しておきましょう。

 

AT(オートマチックトランスミッション)の特徴

ATとは、ギアを自動で切り替える「多段式自動変速機」のことです。

車のスピードやエンジン回転数に応じて、内部のギアが段階的に切り替わる仕組みで、長年多くの車に採用されてきました。

内部では、トルクコンバーターと呼ばれる部品がエンジンの動力をスムーズに伝える役割を果たしており、それに合わせて専用の潤滑油=ATFが使われています。

 

CVT(無段変速機)の特徴

一方、CVTは「無段変速機」と呼ばれる構造で、ギアの段階がなく、滑らかに変速します。

内部には金属ベルトやプーリーといった部品が使われており、エンジンの回転数に応じて無段階で変速比が調整されるのが特徴です。
構造が全く異なるため、CVTにはCVT専用のオイル=CVTFが必要になります。

 

構造が違うためオイルの種類も異なる

ATとCVTは、変速機構も内部の動きもまったく異なります。
そのため、オイルの粘度や耐熱性、潤滑性能、摩擦特性も別物であり、ATFとCVTFには互換性がありません。

 

CVTにATFを入れるとどうなる?

もしもCVT車にATFを入れてしまった場合、車にどのような不具合が起こるのでしょうか。

 

潤滑性能が合わずに異音・振動が発生する

ATFはギアの滑りを制御するための摩擦特性を持っていますが、CVTには金属ベルトやプーリーといった繊細な部品が使われています。

ATFを入れてしまうと、潤滑がうまくいかず、金属がこすれ合うような「ギーギー」という異音や、不自然な振動が発生することがあります。

 

バルブボディやベルト系統に悪影響が出る

CVTの制御に欠かせない油圧回路(バルブボディ)やベルト部分に合わない粘度のオイルが流れると、圧力が安定せず、変速のタイミングが狂ったりショックが出たりする原因になります。

放置すれば金属摩耗や内部破損が進行し、修理が必要になるケースもあります。

 

最悪の場合、CVT本体が故障するリスクも

ATFのまま何百キロも走行を続けた場合、CVT内部に深刻なダメージが蓄積します。

一度故障すると、CVTユニット全体の交換が必要となり、修理費用は30万円〜50万円以上かかることもあります。

 

CVTにATFを入れてしまったときの対処法

もしも間違ってATFを入れてしまったことに気づいた場合、スピーディーな対応が車を守るカギになります。

 

すぐに走行を中止するのが鉄則

ATFを入れた状態での走行は危険です。
たとえわずかな距離でも、潤滑不良や異常摩擦によってCVT内部にダメージが加わる可能性があります。まずは走行をすぐに中止し、エンジンを止めるのが基本です。

 

できるだけ早くCVTFに入れ替える(フラッシング)

間違ったオイルを抜き、新しいCVTFに入れ替える「フラッシング作業」が必要です。

この作業では内部のATFを徹底的に洗い流すため、オイルを何度か入れ替える必要があります。
完全に入れ替えるには5〜10リットル以上のCVTFが必要になることもあります

 

完全な交換には専門業者の対応が必要なことも

CVTは繊細な構造のため、オイルの入れ替えだけで済むとは限りません。
オイルがバルブやセンサー部分に入り込んでいると、エラーコードが出たり、修理が必要になる場合も。ディーラーや信頼できる整備工場に早めに相談しましょう。

 

CVTFとATFの違いを知っておこう

トラブルを未然に防ぐためには、CVTFとATFがどう違うのか、明確に理解しておくことが大切です。

 

CVTFはベルト駆動専用に調整されたオイル

CVTFは、CVT特有のベルトとプーリーの摩擦制御や冷却、油圧制御に最適化されています。

滑らかな加速や変速のスムーズさを維持するため、摩擦係数や熱安定性が非常に繊細に調整されているのが特徴です。

 

ATFはギヤ式AT専用のオイル

ATFは、トルクコンバーターやギヤ内部の潤滑・制御のために作られています。
CVTとは内部構造がまったく違うため、同じ「変速機用オイル」でも目的・性能が異なるのです。

 

互換性は基本的に「まったくない」と考えるべき

一部の汎用オイルに「CVT・AT両対応」と書かれている場合もありますが、基本的に信頼性の高い選択とはいえません。
必ずメーカー純正、または指定のオイルを使用することが推奨されます。

 

誤ったオイル使用でよくあるトラブルと事例

実際にATFをCVTに入れてしまったことで、次のようなトラブルが起きています。

 

気づかずに数百キロ走行しCVTが故障

実際に起こったケースとして、「オイルを間違えたとは知らずに、そのまま200km以上走行してしまった」という例があります。

このユーザーは、走行中に「加速が滑るような感じがする」「発進時に変なショックがある」といった異変を感じていましたが、それがCVTオイルの誤使用によるものとは思わず、そのまま運転を続けてしまったのです。

数日後、車を点検に出したところ、CVT内部の金属ベルトとプーリーに異常な摩耗が見つかり、すでに内部破損が進んでいた状態。

整備士によると、ATFが適切に潤滑できないことで金属同士が直接擦れ合い、内部パーツが劣化・破損していたとのことです。
このように、一度でも誤ったオイルで長距離を走行すると、CVT本体に深刻な損傷が発生します。しかも多くの場合、CVTユニットの「全交換」が必要となり、修理費用は軽く30万円以上になることも。

さらに、保証期間内でも「誤使用」は免責とされるため、自費での高額修理となる可能性が極めて高いのです。

このような事態を防ぐためにも、オイル交換時は使用オイルの種類と適合性をしっかり確認し、万一誤って入れてしまった場合は絶対に走行せず、すぐに対応することが重要です。

 

異常に気づいたが既に内部ダメージが進行

「加速時に引っかかる感じがある」と感じて点検を依頼したところ、内部の圧力制御バルブが正常に作動しておらず、バルブボディの交換が必要に。オイル交換だけでは解決できず、作業費込みで約20万円以上の出費に。

 

修理費用は20万円〜50万円以上かかることも

CVTは高額な部品であり、誤ったオイルの使用による損傷は保証対象外になることがほとんどです。そのため、一度のミスが高額な出費につながる可能性があります。

 

自分の車に合ったオイルの選び方

こうしたトラブルを防ぐために、正しいオイルを選ぶ習慣を身につけておくことが大切です。

 

車の取り扱い説明書を必ず確認

オイルの種類は車種によって異なります。迷ったらまず車の取扱説明書を確認しましょう。
「CVT専用オイル」「CVTF」の表記があれば、ATFは絶対に使ってはいけません。

 

ディーラーや整備士に相談するのが安心

市販のオイルでも対応可能なものはありますが、迷ったときはディーラーや整備士に確認するのが安心です。
中にはCVTにも適合するオイルがありますが、素人判断は避けるべきです。

 

CVTFにも種類があるので要注意(純正推奨)

一口にCVTFといっても、メーカーによって種類が違います。
ホンダ、日産、トヨタなどで仕様が異なることがあるため、できるだけ純正のCVTFを使うのが確実です。

 

まとめ

CVT車にATFを入れることは、重大なトラブルを引き起こす原因になります。
CVTとATでは内部構造がまったく異なるため、使用するオイルの成分や性能も完全に別物です。

たとえ見た目が似ていても、誤ったオイルを使用すれば潤滑不足、摩耗、異音、変速不良といった不具合が起こり、最悪の場合は高額な修理が必要になります。

もしATFを誤って入れてしまった場合は、すぐに走行を中止し、専門業者によるフラッシングと適切な処置を受けることが重要です。

自分の車に合ったオイルを使うためには、取り扱い説明書の確認や、迷ったときの相談先を知っておくことも欠かせません。
車の性能を守るためにも、日常のメンテナンスは慎重に行いましょう。

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