ミッションから「キュルキュル」「ゴーゴー」といった異音が聞こえてきたら、運転中に不安になりますよね。
特に、音の種類や発生タイミングによっては深刻なトラブルの前兆である場合も少なくありません。とはいえ、「すぐ修理が必要なの?」「放置しても大丈夫?」といった疑問を持つ方も多いはずです。
本記事では、ミッションや駆動系から発生する異音について、音の種類ごとの原因や対処法、修理費用の目安、さらには予防策まで徹底的に解説していきます。
AT車・MT車の違いや駆動方式ごとの傾向、実際のトラブル体験談も紹介しながら、読者の不安を解消し、安心してカーライフを続けるためのヒントをお届けします。
「この音、もしかして故障かも?」と気になっている方は、まずこの記事を参考にして、適切な対処を検討してみてください。
ミッションから異音がするのはどんな時?症状別の特徴を把握しよう
ミッションや駆動系から発生する異音は、車の不調を知らせる重要なサインです。
ただし、その「音」がいつ、どんな状況で、どんなふうに鳴るかによって、原因や緊急度は大きく変わります。
ここではまず、異音が出るタイミングや音の種類に注目しながら、トラブルの傾向をつかむためのヒントを整理してみましょう。
異音が出るタイミングで原因の目星がつけられる
異音の発生タイミングは、原因を探るうえで非常に重要な手がかりになります。
たとえば、発進時に異音がするのか、減速時に鳴るのか、走行中ずっと鳴っているのかなど、状況を切り分けることで、トラブルの部位をある程度特定することが可能です。
- 発進時に鳴る異音:クラッチの滑りやギアのかみ合わせ不良の可能性
- 加速時や減速時:トランスミッション内のギア摩耗やオイル不足
- カーブを曲がるときにだけ鳴る音:ドライブシャフトやハブベアリングの劣化
- 段差を超えるときのみ鳴る音:マウント類の緩みやアンダーカバーの干渉など
異音の再現性がある場合は、音が出る条件をメモしておくと、整備士に症状を的確に伝えやすくなります。
「キュルキュル・ゴーゴー」など、音の種類と主な部位
音の種類もまた、異音の原因を特定する大きなヒントになります。
車の異音にはさまざまなタイプがあり、それぞれが発生しやすい箇所があります。
- キュルキュル音
Vベルトやファンベルトなどの滑り音。トランスミッションが直接原因ではないことも - ゴーゴー音
ベアリングの摩耗やギアの劣化。走行中に音が大きくなることが多い - カタカタ・コトコト音
ドライブシャフトやマウントが原因の可能性 - ガラガラ音
トランスミッション内部で何らかの部品が損傷しているケースもあり、早急な対処が必要
音の種類と発生場所をセットで記録することで、診断の精度が高まります。
放置はNG!早期のチェックで修理費用を抑えることも
異音が気になっても「まだ走れるから」と放置してしまう方は少なくありません。
しかし、初期の異音は部品の軽度な摩耗や調整不良で済むことが多く、早めに点検すれば大がかりな修理にならずに済むケースもあります。
特にトランスミッションまわりは、異音の原因が進行するとギアの欠け・オイル漏れ・内部破損など重大な故障に発展する可能性があります。
そうなると修理費用は10万円〜20万円を超えることもあり、負担が一気に増してしまいます。
そのため、「ちょっと変な音がするかも?」と思った段階で、まずは異音の種類や発生タイミングを把握し、早めに整備工場などへ相談することが重要です。
ミッション異音の種類別|考えられる原因と対処法
ミッションや駆動系からの異音には、それぞれ特有の「音の種類」があります。
どのような音が出ているかによって、原因となる部品や不具合の種類をある程度特定することが可能です。
この章では、代表的な異音パターンを取り上げ、それぞれの原因や対処法について詳しく見ていきましょう。
「キュルキュル音」:ベルト類やクラッチの滑り
「キュルキュル」といった高めの音がエンジン始動時や発進時に聞こえる場合、まず疑うべきはベルトの緩みや劣化です。
特にVベルトやファンベルトの摩耗が進むと、滑ってこのような音を発します。
また、MT車の場合はクラッチが滑っていることで似たような音が出ることもあります。
この場合は、クラッチディスクやレリーズベアリングなどの摩耗が進んでいる可能性があります。
【主な対処法】
- Vベルトやファンベルトの張り具合を点検・調整する
- クラッチ系部品の交換(ディスク・カバー・ベアリングなど)
早めに整備すれば数千円~1万円程度で済むこともあり、放置は禁物です。
「ガラガラ・カタカタ音」:ギア・マウント・内部破損
「ガラガラ」「カタカタ」といった低く鈍い音は、トランスミッション内部でギアが摩耗していたり、シンクロ機構に異常が起きていたりする際に発生します。また、ミッションを支えるマウントが劣化・破損している場合にも、加減速時やシフトチェンジ時に衝撃音のような「カタッ」とした音が出ることがあります。
【主な対処法】
- トランスミッションの分解点検(重整備になる場合あり)
- ミッションマウントの交換(5,000〜15,000円程度)
放置するとギアが欠けたり、シフト不能に陥ることもあるため、早めの点検が必須です。
「シャーシャー・ゴーゴー音」:ベアリング劣化やオイル不足
走行中に「シャー」「ゴー」という回転に伴う音が大きくなる場合、ミッション内部のベアリングの摩耗や、オイルの量・劣化が原因の可能性があります。特に、ベアリングが傷んでいると回転時の摩擦音が出やすく、放っておくと焼き付きの原因になります。
また、ミッションオイルが不足していたり、劣化して粘度が下がっていることも異音の要因です。
【主な対処法】
- ミッションオイルの交換または補充(数千円〜)
- ベアリング交換(工賃込みで数万円程度)
オイルの状態はDIYでも点検可能なため、早期チェックがポイントです。
「コトコト音」:ドライブシャフトやジョイントの摩耗
走行中に「コトコト」「コツコツ」と小さな打音が聞こえる場合、ミッションそのものではなく、駆動系のドライブシャフトやジョイント部分の摩耗やガタつきが考えられます。特にカーブを曲がるときや段差を超えるときに音が目立つようなら、この可能性が高いでしょう。
【主な対処法】
- ドライブシャフトの点検・交換(リビルト品で1〜2万円程度)
- ジョイントブーツの破れがあれば補修・交換
この異音を放置すると、シャフトが抜けて走行不能になる恐れもあるため注意が必要です。
AT車とMT車で異音の傾向が違う?駆動方式ごとの違いも解説
車のミッション異音は、車種や年式だけでなく「ATかMTか」「駆動方式が何か」によっても、発生しやすいトラブルや音の傾向が異なります。
ここではオートマ車・マニュアル車の違い、さらにはFF・FR・4WDといった駆動方式ごとの影響も含めて、異音の特徴を整理していきましょう。
オートマ車(AT)で多い異音と対処のポイント
オートマ車では、電子制御の油圧システムでギアが自動的に切り替わる構造になっており、構造が複雑な分、異音が発生する原因も多岐にわたります。
特に多いのが以下のようなケースです。
- ギアチェンジ時のショック音(「ドンッ」「コトッ」)
→ATフルードの劣化や油圧制御バルブの不調が原因 - 発進直後の「ウィーン」「ジジジ」といったモーター音
→CVT車に多く見られるが、滑り症状やオイル不足の可能性あり - 加速時に「ゴー」という連続音
→トルクコンバーターやベアリング摩耗の前兆
【対処法】
AT車の場合は、「ATフルードの定期交換」と「オイル管理の徹底」が予防のカギ。
違和感があれば早めにATの点検が必要です。
マニュアル車(MT)ならではの異音とは?
MT車では、ドライバーがクラッチとシフト操作を行うため、物理的な接触部品の摩耗による異音が起こりやすい傾向があります。
代表的な異音には以下があります。
- クラッチを踏んだときの「ギィー」「シャリッ」音
→レリーズベアリングやクラッチカバーの摩耗が原因 - ギアチェンジ時の「ガリッ」音
→シンクロメッシュの損傷やギアのかみ合い不良 - エンジンブレーキ中の「ゴー」音
→ギアの歯面の摩耗が進行している可能性あり
【対処法】
MT車は定期的なクラッチ交換やギアオイルの管理がポイント。
異音が出始めたら、クラッチ系の部品も合わせて点検することをおすすめします。
FF・FR・4WDなど駆動方式による影響も考慮を
駆動方式によっても異音の発生箇所や聞こえ方は異なります。
以下のような傾向があるため、車両構造の違いも理解しておくと診断の精度が上がります。
- FF車(前輪駆動)
ドライブシャフトやCVジョイントの異音が出やすい。カーブ時の「カタカタ音」などに注意 - FR車(後輪駆動)
プロペラシャフトやデフのガタつきによる異音が発生しやすい。「ゴトゴト」「コトコト」といった音が増える傾向 - 4WD車(四輪駆動)
複雑なトランスファー機構やセンターデフがあり、そこからの異音も。特に雪道走行後の固着音に注意が必要
【ポイント】
「どのタイヤから音が出ているか」「加速・減速・カーブで音が変わるか」などを記録しておくことで、駆動系の異音診断がスムーズになります。
故障じゃない?異音でもトラブルではないケースもある
「変な音がする=すぐに修理が必要」と思ってしまいがちですが、実はすべての異音が故障や重大なトラブルにつながるわけではありません。
季節的な条件や走行環境などによって、一時的な音が出ることもあり、必ずしも修理が必要とは限らないのです。
ここでは、トラブルとは言い切れない異音の具体例や、判断のポイントを見ていきましょう。
気温や湿度による一時的な音の可能性
特に冬場や梅雨時など、気温や湿度が大きく変化する季節には、以下のような一時的な異音が発生しやすくなります。
- 朝一番の始動時に「ギー」「キュルキュル」
→ゴム部品や金属の収縮による滑り音。暖気後に収まるなら問題なし - 湿度の高い日に「キシキシ」「ピシッ」
→ブレーキや足回りの錆びによる摩擦音。数分走行して音が消えるなら心配無用
このように、音の出るタイミングや持続性によっては、様子を見る判断も可能です。
足回りやアンダーカバーなど他の部位の共振
「ミッションから音がする」と思っていても、実際は駆動系以外の部位が振動や共鳴によって音を出しているケースもあります。
- アンダーカバーのビビリ音
→プラスチック部品の劣化や固定不足で「ガタガタ」と異音が出る場合あり - タイヤハウスやバンパー裏からのカタカタ音
→段差で共振するだけで、走行性能に問題はないことも多い - マフラーの遮熱板の共振
→「シャリシャリ」「カンカン」といった金属音のように聞こえるが、機能的な支障は出にくい
これらの音はミッション異音と勘違いされがちなので、位置や状況の切り分けが重要です。
異音がしても様子見で済むケースとその見極め方
異音が出たからといって、すぐに修理へ出すべきかどうか悩む方は多いと思います。
そんなときは、以下の3点をチェックしてみてください。
- 音の出方に一貫性があるか?
→毎回同じ条件で鳴るなら部品の摩耗などの可能性大。逆に不定期なら様子見も選択肢 - 走行性能に影響があるか?
→加速・減速・ハンドリングに異常がなければ、致命的なトラブルではない場合がある - 異音が増幅・悪化しているか?
→だんだん音が大きくなってきたなら、故障の進行と判断して早めの点検を
これらのポイントを押さえておけば、不要な出費を防ぎつつ、重大トラブルの見逃しも避けることができます。
異音が出たときのチェックポイントと応急対応
車から異音が発生したとき、慌てて走行をやめたりすぐに修理に出したくなりますが、まずは冷静に「どんな状況で音が出ているか」を記録・確認することが重要です。
状況を正しく把握することで、整備工場やロードサービスに相談する際もスムーズになり、無駄な出費を防ぐことにもつながります。
発生条件を記録しよう:加速・減速・停車・カーブなど
異音の原因を特定するには、「どのような運転状態で音がするか」を明確にすることが第一歩です。以下のような条件に注目してみてください。
- 加速時に音がする:駆動系やエンジンマウント、トルクコンバーターの可能性
- 減速・エンジンブレーキ時に鳴る:ギア・ミッション内部の摩耗やシンクロ異常など
- 停車中に聞こえる:ファンやアイドリング系の振動・異常音が疑われる
- カーブ時に異音が出る:ドライブシャフト・ベアリング・サスペンション周りの不具合の可能性大
「いつ・どこで・どんな音が・どのくらいの時間続くか」をメモする習慣をつけておくと、点検時の説明が格段に伝わりやすくなります。
音の再現タイミングを確認する重要性
一度きりの異音であれば様子見という選択肢もありますが、同じ場面で何度も再現する場合は注意が必要です。
異音が再現されることで、以下のような判断がしやすくなります。
- 再現性が高い異音:機械的な不具合の可能性が高く、部品の摩耗や故障が疑われる
- 再現しない・突発的な異音:一時的な振動や環境要因の可能性あり
また、異音が「冷間時に出るのか、暖気後に出るのか」でも原因が変わってきます。
なるべく異音を再現しやすい条件を把握しておきましょう。
自走できる?できない?ロードサービス活用の判断基準
異音が出た直後に「このまま運転して大丈夫か?」と迷う場面は多いものです。
以下のような基準で、ロードサービスを呼ぶかどうかを判断すると安心です。
- 異音と同時に走行性能に異常が出た(加速しない、ハンドルがブレる等)
→すぐに停止し、ロードサービスを呼ぶべき状況 - 異音はあるが、普通に走行できている
→安全な場所に停車し、様子を見てから判断。可能であれば整備工場まで慎重に走行 - 警告灯(エンジン・オイル・ABSなど)が同時に点灯した
→重大なトラブルの可能性あり、すぐにレッカー依頼を検討
不安な場合は無理せず、任意保険に付帯しているロードサービスの利用を検討しましょう。
修理費用の相場と依頼先の選び方
ミッションや駆動系からの異音が本格的な故障だった場合、気になるのはやはり修理費用です。しかし、車種や故障箇所によって費用は大きく変動します。
また、どこに修理を依頼するかによっても、料金だけでなく対応の質や納期も異なります。
ここでは、相場感と依頼先の選び方について具体的に解説します。
ミッション修理・交換の費用目安(軽・普通車・輸入車)
ミッション関連の修理費用は、症状の重さと車種によって大きく異なります。
以下は、一般的な相場の一例です。
車種区分 | 修理内容 | 費用目安(税込) |
---|---|---|
軽自動車 | ATオイル交換程度 | 5,000~15,000円 |
軽自動車 | 部品交換・簡易修理 | 30,000~80,000円 |
普通車 | 部品交換・修理 | 50,000~150,000円 |
普通車 | ミッション載せ替え | 20万~40万円 |
輸入車 | 修理・載せ替え | 30万~80万円以上 |
※あくまで目安であり、実際の費用は症状・地域・業者によって変動します。
異音が「ギアの摩耗」「ベアリング不良」など軽度なものであれば、10万円未満で済むこともありますが、全体交換となると高額になることを覚悟しておきましょう。
ディーラー・整備工場・専門業者、それぞれの特徴
修理の依頼先は主に以下の3つに分かれます。
それぞれの特徴を理解して、自分のニーズに合った選択をしましょう。
ディーラー
- 純正部品での確実な修理
- メーカー保証に対応可能
- 費用は高め、納期もやや長め
街の整備工場(認証工場含む)
- 柔軟な対応とコストパフォーマンスが魅力
- 中古・リビルト品など選択肢が広い
- 工場によって技術や対応に差が出ることも
トランスミッション専門業者
- ミッションに特化した高度な知識と技術
- 修理・オーバーホール・リビルト対応に強み
- 部品の入手や交換対応が早い傾向
それぞれにメリット・デメリットがあるため、費用・技術・信頼性のバランスで検討しましょう。
安さだけじゃない!信頼できる業者選びのポイント
「安く済ませたい」と考えるのは当然ですが、ミッション関連の修理は車の安全性に関わる重要な整備です。
失敗しないために、以下のポイントを押さえて業者を選びましょう。
- 実績と専門性があるか?:ミッションや駆動系修理の経験が豊富か、事例を確認
- 見積もりが明確か?:作業内容・部品代・工賃が明示されているかどうか
- 相談や対応が丁寧か?:話をきちんと聞いてくれる業者は信頼性が高い傾向に
- 口コミ・レビューを確認:GoogleマップやSNS、整備予約サイトの評価も参考に
少しでも不安がある場合は、2〜3社で相見積もりを取るのがおすすめです。
費用だけでなく、「納期・保証・対応の良さ」も含めて総合的に判断しましょう。
録音・記録がトラブル診断の助けになる理由
異音の発生は、常に整備工場に持ち込めるタイミングで起こるとは限りません。
そんなときに役立つのが「音を記録しておくこと」です。
特に、異音が断続的・一時的な場合、録音やメモがあるかないかで整備士の診断精度が大きく変わります。
この章では、スマホを使った簡単な記録方法と、その活用のコツを紹介します。
異音の録音・録画はスマホでも十分有効
「異音をどうやって伝えればいいのかわからない」と感じたときは、スマートフォンの録音・録画機能を活用するのが最も手軽で効果的です。
-
録音:音の質・リズムを正確に伝えられる
-
録画:音に加えてスピード・メーター表示や状況も記録可能
-
送信:整備工場に事前送信できれば、初期診断もスムーズに
音は文章では伝えにくいため、実際の音を聞いてもらえるだけでも診断の精度は格段に上がります。
記録すべき情報:音の種類・発生状況・頻度
録音・録画だけでなく、以下のような情報を簡単にメモしておくと、さらに的確なアドバイスを受けやすくなります。
記録項目 | 具体的なポイント例 |
---|---|
音の種類 | キュルキュル、ガラガラ、シャーシャーなど |
発生する場面 | 発進時、減速時、カーブ、段差越えなど |
音の持続時間 | 数秒間か、走行中ずっとか |
音の頻度 | 毎回発生するか、数日に一度なのか |
気温や天気の状況 | 朝晩の冷え込みや雨天時などの関連性の有無 |
こうした記録は「口頭だけでは伝えにくいこと」をカバーしてくれる強力なサポートになります。
整備士に伝えるときに役立つメモの取り方
プロの整備士も、音を“再現できない”ことには原因特定に時間がかかってしまいます。
以下のような形でメモをまとめておくと、説明がスムーズになり、無駄な時間や工賃も省ける可能性があります。
- 簡単な箇条書きでまとめる
例:「朝の始動時にキュルキュル音が5秒ほど。暖気後は鳴らない」 - 日付を記入しておく
⇒「○月○日:発進時にシャーという音。音量は中くらい」 - スマホの録音ファイルと一緒に提示する
⇒メカニックに直接聴いてもらうのが最も早く伝わる方法
このような準備があるだけで、原因特定・見積もり・修理の全プロセスがスムーズになります。
ミッション異音を防ぐためにできること
ミッションや駆動系からの異音は、放っておけば大きな修理につながることもありますが、日常のメンテナンスや運転習慣を見直すことで予防できるケースも少なくありません。
この章では、異音を未然に防ぐためにドライバーが日頃から意識できるポイントを具体的に解説します。
定期的なオイル交換とメンテナンスを欠かさずに
もっとも基本的で確実な予防策が、ミッションオイル(ATF・MTオイル)の定期交換です。
エンジンオイルほど意識されない部位ですが、以下のような点を押さえておくことが重要です。
- AT車(オートマ):2万~4万kmごとのATF交換が推奨される場合が多い
- MT車(マニュアル):5万~6万km程度でのミッションオイル交換が目安
また、異音がなくても定期点検で下回りやマウントの緩み、オイル漏れなどを見てもらうことで、トラブルの早期発見につながります。
急発進・急加速を避ける運転で負担軽減
運転習慣もミッションや駆動系への負担を左右します。
以下のような操作は、部品の劣化を早め、異音の原因にもなりかねません。
- 急発進・急加速
- アクセルとブレーキの頻繁な踏み替え
- カーブや段差でのスピードの出しすぎ
とくに発進時の急なアクセル操作は、トランスミッションに大きなトルク負荷をかけるため、スムーズな加速を心がけるだけでもトラブル予防になります。
普段から音に敏感になることで早期発見が可能に
最後に重要なのは、車からのサインにいち早く気づく意識です。
普段から「音」に敏感でいることで、以下のような兆候を逃さず対応できます。
- 「あれ?今まで聞こえなかった音がする」
- 「走行中に軽いカタカタ音が続いている」
- 「発進時に前より重い感じがする」
これらを「気のせい」と片付けず、メモや録音を取るようにしておくことで、初期症状の段階で整備に出すことが可能になります。
重大なトラブルになる前に気づければ、修理費も最小限で済みます。
実際にミッション異音を経験した人の体験談・修理事例
ミッション異音のトラブルは、実際に経験した人の声を聞くことでその深刻さや対処法のリアリティが増します。
この章では、音の種類ごとのユーザー報告、実際の修理内容、そして「もっと早く点検すればよかった」と後悔する声まで、参考になる体験談を紹介します。
異音の種類ごとに多い投稿・報告内容まとめ
SNSや整備相談サイトなどでは、以下のような異音に関する報告が多く見受けられます。
「発進時や減速時に“カタカタ”と音がして、Dレンジに入れても反応が悪い」(Xより)
「走行中“ゴーゴー”というこもった音が聞こえて、最初はタイヤかと思ったらミッションだった…」(価格.comの整備相談)
その他に多い投稿傾向としては、
- キュルキュル音:ベルトかと思っていたらクラッチ内部の滑りだった
- ガラガラ音:マウントのゆるみや、ギアの破損事例が多数
- コトコト音:ドライブシャフト関連の劣化による事例が多い
異音の種類によって、疑われる部位もある程度絞り込めることがわかります。
修理内容とその後の変化|ユーザーのリアルな声
実際に修理を受けた人たちの体験談では、「音がしなくなった」だけでなく、「運転のレスポンスが改善された」と感じた人も多いようです。
「ATの異音でクラッチ交換したら、音も消えたし変速ショックも減った。もっと早くやればよかった」
(引用元:みんカラ整備手帳 – スズキ ワゴンR)
「修理に8万円かかったけど、それ以降まったく問題なし。異音の出方に気づいてなかったら危なかった」
(引用元:整備士ドットコム Q&A)
修理内容は「ベアリング交換」「クラッチオーバーホール」「ミッション載せ替え」などが多く、費用は数万円〜数十万円と幅があります。
「もっと早く見てもらえばよかった」という後悔の声も
トラブルが大きくなる前に整備工場へ相談していれば…という後悔の声も目立ちます。
「最初は“ちょっとした音”と思っていたけど、異音が大きくなって走行不能に。もっと早く見せておけば数万円で済んだのに…」
(引用元:教えて!goo 自動車カテゴリ)
「異音を無視して乗り続けた結果、ミッション載せ替えになってしまい、修理代が倍以上かかった」
(引用元:Yahoo!知恵袋)
このような体験談は、異音を軽視せず「記録して相談する」ことの重要性を物語っています。
ミッション異音と走行距離・経年劣化の関係|いつから注意すべき?
ミッション系の異音は、車の年式や走行距離と大きく関係しています。
「まだ音がするほど古くない」と思っていても、使い方やメンテナンス状況によっては予想以上に早く劣化が進んでいるケースも少なくありません。
ここでは、走行距離や経年劣化の視点から、異音が出始める目安や注意点を解説します。
5万km〜10万kmで現れやすい劣化の兆候とは?
ミッションや駆動系の部品は走行距離に応じて徐々に摩耗していきます。
とくに異音として顕著に現れるのは5万km〜10万kmあたりが多く、以下のような傾向があります。
- AT車
ATF(オートマオイル)の劣化が進む8万km前後で変速不良や異音が出ることがある - MT車
6万〜8万kmあたりでクラッチディスクの摩耗やシンクロの劣化による「ゴリゴリ音」が増加傾向 - ベアリングの摩耗
10万km前後でガーガー、シャーという回転音が出始めることが多い
新車時からオイル交換や定期点検をしっかり行っていれば延命は可能ですが、距離が増えてくるとどうしても内部パーツの金属疲労は避けられません。
使用環境によって劣化スピードが変わる
同じ年式・走行距離でも、車の使用環境によって劣化の進行度合いは大きく変わります。
- 都市部で信号待ちが多い
シフトチェンジや発進回数が多く、クラッチやギアに負担 - 坂道や山道が多い地域
エンジンブレーキや低速ギアの頻用によりギア比に負荷 - 渋滞・短距離走行メイン
トランスミッションが常に低速域で稼働し、油温や負荷が偏る
また、冬場に暖機せずすぐに走り出す習慣がある方も、オイルの潤滑不足でベアリングやギアにダメージが蓄積されやすいので注意が必要です。
年式の古い車ではミッションマウントの劣化も要注意
走行距離だけでなく、年数の経過によるゴム部品の劣化も異音の要因になります。
たとえば、
- ミッションマウント(エンジンマウント)のゴムが硬化・ひび割れ
- ブッシュの緩み・抜けによって「ドンッ」「コトコト」といった突き上げ音が発生
- 特に10年超の車両ではミッションを支える構造部に劣化が見られるケースが多い
これらは金属パーツではなくゴム・樹脂部品なので、車検や点検でも見落とされがちです。
「走行距離が少ないから安心」ではなく、年数的な劣化の可能性も考慮した点検が必要です。
まとめ
ミッションや駆動系から発生する異音は、車の不調を知らせる重要なサインです。
「キュルキュル」「ゴーゴー」といった音の違いによって原因部位も異なり、放置すれば重大なトラブルに発展することもあります。
特に走行中や加速時に異音がする場合は、早めの点検と修理を強くおすすめします。
また、異音の発生はAT車・MT車で傾向が異なるだけでなく、使用環境や走行距離、経年劣化の影響も大きく関係しています。
単なる経年劣化だけでなく、運転スタイルや日常的なメンテナンス不足も異音の原因になることを忘れてはいけません。
もし異音に気づいたら、まずはその音の種類やタイミングを記録し、信頼できる整備工場に相談しましょう。録音やメモを残すことで診断もスムーズになります。
早期の対処によって、修理費用を最小限に抑えることも可能です。
日頃から車の“音”に耳を傾けながら、安全・快適なカーライフを維持していきましょう。