「エンジンはかかるのに車が前に進まない…」という状況に直面すると、とても不安になりますよね。
実はこの現象には、ドライバー自身でも確認できる単純な原因から、修理が必要な深刻な故障まで、さまざまな理由があります。
この記事では、車が動かないときに考えられる主な原因と、その場でできるチェックポイント、さらに修理や費用の目安について解説します。
エンジンはかかるのに車が動かないときに考えられる原因
エンジンが問題なく始動しても、車が前に進まないときにはいくつかの代表的な原因が考えられます。
ここでは、ドライバー自身が確認できる簡単なものから、修理が必要になる故障の可能性まで順番に解説します。
シフトレバーの位置ミス(PやNのまま)
オートマ車の場合、シフトレバーが「P(パーキング)」や「N(ニュートラル)」のままになっていると、アクセルを踏んでも車は進みません。
特に慌てているときや急いでいるときに見落としやすいポイントなので、まずはシフトが「D(ドライブ)」や「R(リバース)」にしっかり入っているか確認しましょう。
サイドブレーキ(パーキングブレーキ)の解除忘れ
サイドブレーキを引いたまま走り出そうとすると、当然ですが車は進みません。
メーターに「P」ランプが点灯している場合は解除忘れの可能性が高いです。
完全にレバーを下げたか、電動パーキングブレーキの場合は解除されているかをチェックしましょう。
AT車の変速機トラブル
シフトを「D」に入れても進まない場合、オートマチックトランスミッション(AT)の故障が疑われます。
内部の油圧制御やギアが正常に作動していないと、エンジンの力が車輪に伝わりません。
これは専門的な修理が必要です。
MT車のクラッチトラブル
マニュアル車で多いのが、クラッチディスクの摩耗によるトラブルです。
クラッチが滑っていると、ギアを入れても空回りして進まないことがあります。
クラッチペダルを踏んだときに違和感がある場合は要注意です。
駆動系(ドライブシャフト・デフ)の不具合
駆動系の部品が破損していると、エンジンの力がタイヤに伝わらず車が動きません。
例えば、ドライブシャフトが折れていたり、デフ(ディファレンシャル)が故障していたりするケースです。
これも修理が必要な深刻な状態です。
修理費用の目安一覧
車が動かない原因が故障によるものであれば、修理費用は部品やトラブルの内容によって大きく変わります。
軽微な修理で済む場合もあれば、トランスミッションのように高額になるケースもあります。
ここでは代表的な部品ごとの費用感をまとめました。
部品・修理内容 | 費用の目安 |
---|---|
トランスミッション修理 | 10万〜20万円 |
トランスミッション交換 | 30万〜50万円以上 |
クラッチ修理 | 5万〜15万円 |
ドライブシャフト交換 | 3万〜7万円(片側) |
デフ交換 | 10万〜30万円 |
このように、修理費用は数万円で済む場合もあれば、車の状態によっては数十万円規模になることもあります。
特に年式の古い車では修理費用が車両価格を上回ることもあるため、修理するか買い替えるかを判断する基準にもなります。
運転者がすぐに確認できるチェックポイント
車が動かないときでも、必ずしも大きな故障とは限りません。
まずはドライバー自身で簡単に確認できるポイントをチェックしてみましょう。
シフトレバーを「D」や「1速」に入れ直してみる
オートマ車の場合は「D(ドライブ)」、マニュアル車の場合は「1速」に正しくギアが入っているか確認しましょう。
振動や操作ミスで中途半端に入っていると、エンジンはかかっていても車が動きません。
一度シフトをニュートラルに戻し、改めて正しい位置に入れ直してみてください。
サイドブレーキが完全に解除されているか確認
サイドブレーキが少しでも引かれた状態だと、車が動きにくくなります。
特に電動パーキングブレーキの場合は、ランプが消えているかどうかを確認しましょう。
半解除のままだと気づかずにアクセルを踏み込んでしまうこともあります。
アクセルを踏んだときの反応に違和感がないか
アクセルを踏んでもエンジン回転数が上がらない場合、燃料系や電気系の不具合の可能性もあります。
逆に、回転数だけ上がって車が進まない場合は、クラッチやトランスミッションのトラブルが考えられます。
故障の可能性がある場合
簡単なチェックをしても解決しない場合は、車自体にトラブルが発生している可能性があります。
特に次のような症状が出ている場合は、専門的な修理が必要です。
AT車で「D」にしても進まない
オートマチック車で「D」に入れても車が前に進まない場合、トランスミッション内部の故障が考えられます。
内部の油圧が正常に働かないと、エンジンの力がタイヤに伝わらず走行できません。
MT車でクラッチが空回りする
マニュアル車の場合、クラッチディスクの摩耗が進むと「クラッチが滑る」状態になり、アクセルを踏んでも力が伝わらず車が動きません。
症状としては、エンジンの回転数だけが上がり、速度がついてこないという特徴があります。
ギアは入っているのに加速できない
ギアを入れているにもかかわらず車が加速できない場合、駆動系のトラブル(ドライブシャフトの破損やデフの故障など)が疑われます。
こうしたケースでは、自力で走行するのは難しく、すぐにロードサービスを呼ぶ必要があります。
その場でできる応急対応とロードサービスの利用
車が動かない状態で無理に走ろうとすると、症状を悪化させたり事故につながったりする危険があります。
原因が特定できない場合は、以下の手順で落ち着いて対応しましょう。
無理に動かさず、安全な場所に停める
まずは慌てず、車をできるだけ安全な場所に停めましょう。
エンジンがかかる状態であれば、ハザードランプを点けて後続車に知らせます。
動かせない場合は三角停止表示板を設置し、周囲に注意を促すことも大切です。
保険付帯のロードサービスやJAFを呼ぶ
自動車保険には、無料で使えるロードサービスが付帯している場合が多くあります。
保険証券やスマホアプリで確認し、対象になっていればすぐに連絡しましょう。
また、JAF会員であれば全国どこでも対応してもらえるため、加入している方はJAFを呼ぶのが安心です。
故障車を移動する際の注意点
もし車を押して移動させる必要がある場合は、必ず複数人で行いましょう。
交通量の多い道路では非常に危険ですので、できるだけ避けてください。
牽引ロープなどで他の車に引いてもらう場合もありますが、正しい手順を知らないまま行うと車を傷める可能性があるため、基本的にはロードサービスに任せるのが安全です。
修理が必要な部品と費用の目安
車が動かなくなる原因の多くは、駆動系や変速機といった重要部品の故障です。
これらはドライバー自身で修理できるものではなく、整備工場での点検・修理が必要になります。
ここでは代表的な部品と修理費用の目安を紹介します。
トランスミッション修理・交換
オートマ車・マニュアル車ともに、トランスミッションの故障は高額修理の代表例です。
内部の部品交換で済めば10万〜20万円前後、丸ごと交換が必要な場合は30万〜50万円以上かかることもあります。
クラッチ修理
マニュアル車の場合、クラッチディスクやクラッチカバーの交換が必要になるケースがあります。
費用は車種にもよりますが、5万〜15万円程度が一般的です。
クラッチの摩耗は走行距離や運転の仕方にも大きく左右されます。
駆動系部品の交換(ドライブシャフト・デフなど)
駆動系の部品にトラブルがある場合、部品交換で対応するのが一般的です。
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ドライブシャフト交換:片側で 3万〜7万円前後
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デフ(ディファレンシャル)修理・交換:10万〜30万円前後
といった費用感になります。
まとめ
エンジンはかかるのに車が動かないという症状は、操作ミスのようにすぐ解決できるものから、トランスミッションや駆動系の故障といった深刻なトラブルまで幅広い原因が考えられます。
まずはシフトレバーやサイドブレーキといった基本的な部分を確認し、それでも改善しない場合は故障の可能性を疑いましょう。
無理に走行を続けるとさらに状態を悪化させる恐れがあるため、早めにロードサービスを利用して安全を確保することが大切です。
修理が必要な場合は費用がかかるケースもありますが、適切に対応すれば再び安心して車に乗ることができます。
慌てず落ち着いて原因を切り分け、必要に応じてプロに任せることが、トラブルを最小限に抑えるためのポイントです。