走行中、特に低速時に「コトコト」とした異音が車の足回りから聞こえると、不安になりますよね。異音の原因が分からないまま放置してしまうと、思わぬトラブルに発展することもあります。
特に足回りは車の走行性能や安全性に直結するため、早期の原因特定と対処が重要です。
本記事では、足回りから発生する「コトコト音」の代表的な原因やチェックすべき部品、対処法について詳しく解説していきます。
車種や走行条件による傾向、実際の修理体験談、異音の予防法なども盛り込み、これから修理や点検を検討している方にとって参考になる内容をまとめました。
この記事を通じて、異音の不安を解消し、安心してカーライフを送るためのヒントを得ていただければ幸いです。
低速走行時に聞こえる「コトコト」音の主な原因とは?
車の足回りから「コトコト」といった異音が聞こえる場合、その原因は多岐にわたります。
特に低速走行中や段差を越える際に発生する異音は、サスペンション関連の部品に不具合がある可能性が高いです。
ここでは、足回りから異音が出るときに真っ先に疑うべき主要な部品と、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
スタビライザーのゴムブッシュの劣化や損傷
スタビライザーは車体のロール(傾き)を抑える役割を持つ部品で、その取り付け部に使われているのがゴムブッシュです。
このゴムが劣化・摩耗すると、走行中にスタビライザーがわずかに動いて「コトコト」音を発生させます。
特に段差やマンホールを越えるタイミングで異音が出やすく、ゴムのひび割れや硬化が見られたら交換が必要です。
ショックアブソーバーの摩耗や不具合
ショックアブソーバーは路面からの衝撃を和らげる重要な部品ですが、長年の使用によって内部のオイル漏れや摩耗が進行すると、金属同士の干渉音や「コトコト」音が発生することがあります。
初期の異音は軽微ですが、放置すると乗り心地の悪化やタイヤの偏摩耗などを招くため早めの点検が必要です。
タイロッドエンドの劣化や緩み
ハンドル操作をタイヤに伝える役割を担うタイロッドエンドも、異音の原因となりやすい部品です。特にジョイント部のガタつきやブーツの破れがあると、ハンドルを切るたびに「コトコト」と音が鳴ることがあります。
タイヤ周辺から音がする場合は、点検の際にこの部品の緩みも確認しておくと安心です。
アッパーマウントの劣化による異音
ショックアブソーバー上部に取り付けられているアッパーマウントも、劣化によって異音の原因になります。
ゴム製のパーツが硬化・ひび割れを起こすと、金属部分が干渉して「コトコト」音を発するケースが多く、特にハンドルを切ったときや駐車場での低速走行時に顕著です。
ロアアームやボールジョイントのガタつき
ロアアームは車輪を支える重要な部品で、そこに組み込まれているボールジョイントにガタが出ると異音が発生します。
ジョイント部の摩耗や緩みにより、走行時の振動や衝撃が「コトコト」として聞こえるようになります。音が続くようなら、早めに整備工場で確認しましょう。
足回り異音とハンドル操作の関係性
異音が発生するタイミングが「ハンドルを切ったとき」に限られる場合、足回りの部品の中でも特にステアリング系統の部品に異常がある可能性が高いです。
ステアリングラックやタイロッドエンドなどが該当し、直進時は無音でも旋回時に「コトコト」音が出るのが特徴です。
「コトコト音」が発生しやすいシチュエーションとは?
足回りからの「コトコト」という異音は、走行中いつでも鳴るわけではなく、特定の状況や動作のときに目立つことが多いです。
音の出るタイミングを把握することは、原因の特定にとても重要なヒントになります。
ここでは、異音が出やすい具体的なシチュエーションについて詳しく見ていきましょう。
段差やマンホール通過時
道路の段差やマンホールなど、高さの変化がある場所を通過する際に「コトコト」と音が出る場合は、サスペンション関連の部品にガタがある可能性が高いです。
スタビライザーやアッパーマウント、ロアアームなどが劣化していると、わずかな振動でも異音として現れやすくなります。
交差点での右左折時
ハンドルを大きく切る交差点での右左折時に異音が発生するのは、タイロッドエンドやアッパーマウントの不具合が疑われます。
方向転換によりサスペンションやステアリング周辺の部品に力がかかり、ガタつきが音として表れるケースです。
駐車場への進入時・縁石超え時
スロープのある駐車場へ進入するときや、縁石を超えるときに異音がする場合は、ショックアブソーバーやスタビブッシュの劣化が考えられます。
車体のねじれや上下の動きが大きくなる場面では、足回りの部品のわずかな緩みでも異音が目立ちやすくなります。
発進・停止の瞬間
ブレーキを離して発進したり、停車時に踏み込んだときに音が出る場合は、ボールジョイントやサスペンションの取り付け部が原因の可能性があります。
とくに車が前後に揺れるタイミングで異音が発生するようであれば、早めの点検をおすすめします。
ブレーキ解除やバック走行時
駐車場などでブレーキを解除して後退する際に「コトコト」と鳴る場合もあります。
このようなときは、サスペンション周辺の緩みやロアアームのジョイントにガタが出ていることが多く、症状を放置しておくと安全性に影響を及ぼす可能性もあります。
異音の原因別の詳細と対処法
足回りから聞こえる「コトコト」音は、さまざまな部品の劣化や緩みが原因で発生します。
この章では、それぞれの部品がどのような役割を果たしており、どのような不具合で異音が出るのか、また具体的な対処方法について詳しく解説します。
異音の元を的確に突き止め、安心して走行できるようにしておきましょう。
スタビライザーの役割と交換費用
スタビライザー(スタビライザーバー)は、左右のサスペンションをつなぎ、車体のロール(傾き)を抑える役割があります。
このスタビライザーに付いているゴム製のブッシュが劣化すると、段差を乗り越えた際などに「コトコト」と異音が出ることがあります。
スタビブッシュの交換費用は、部品代と工賃を含めておおよそ5,000~15,000円程度です。
ショックアブソーバーの寿命とメンテナンス
ショックアブソーバーは、路面からの衝撃を吸収して乗り心地を保つ装置です。
長年使用すると内部のオイル漏れやピストンの摩耗により性能が低下し、異音の原因となります。
異音に加えて乗り心地が悪くなったと感じたら交換のサインです。
交換費用は車種にもよりますが、1本あたり10,000~25,000円が相場です。
タイロッドエンドの緩みを放置するとどうなる?
タイロッドエンドはステアリング操作をホイールに伝える部品で、ここのガタつきも「コトコト音」の原因になります。
異音の放置はハンドリングの不安定化や安全性の低下につながるため、早めの対処が必要です。
交換費用は部品と工賃合わせて10,000~20,000円程度が目安です。
アッパーマウント交換の目安と異音サイン
アッパーマウントはショックアブソーバーの上部にあるゴム製の部品で、車体との接続部分を支えています。ここが劣化すると、走行中や段差で「コトコト」音が発生します。
アッパーマウントはショック交換と同時に交換されることが多く、部品代は1個あたり3,000~6,000円、交換作業と合わせると片側で15,000円前後が相場です。
DIYでの対処は可能?注意点を解説
異音の原因が明らかで、工具や知識がある場合はDIYでの対応も可能ですが、足回りは安全に直結する部分です。
特にロアアームやタイロッドエンドの作業はトルク管理が必要で、間違えると重大な事故につながる可能性もあります。
不安がある場合は無理せず整備工場に依頼するのが賢明です。
車種や走行状況によって異音の傾向は異なる?
足回りの「コトコト」音といっても、その発生傾向は車種や車の使用環境によって大きく異なります。
軽自動車・ミニバン・SUVなど車両の特性や、日常の走行条件によって異音が出やすい部位も変わります。
ここでは代表的な車種ごとの傾向や、走行距離による変化について解説します。
軽自動車・コンパクトカーで多い異音パターン
軽自動車やコンパクトカーは構造上、足回りの部品が小型で軽量な分、経年劣化の影響を受けやすい傾向があります。
特にスタビライザーやロアアームのブッシュ部分からの異音が多く、段差や駐車時に「コトコト」と音が鳴るケースが頻繁に見られます。
部品の摩耗に気づかず乗り続けると、他の部分に負担がかかることもあるため注意が必要です。
ミニバン・SUVの足回り異音の特徴
ミニバンやSUVは車重が大きいため、足回りにかかる負荷も高く、ショックアブソーバーやアッパーマウントなどが劣化しやすい特徴があります。
とくに家族乗車やアウトドアなどで重量物を積むことが多い車では、足回りへの負担が蓄積され、異音の原因になりやすくなります。
車高の高さから部品のストロークも大きくなり、上下動で異音が出やすいのも特徴です。
走行距離5万km・10万km超で増える足回りトラブル
車の足回り部品は消耗品であり、特に5万kmを超えるとスタビブッシュやショックアブソーバーに劣化が現れ始めます。
10万kmを超えると、タイロッドエンドやロアアームなどの金属部品のガタつきが原因で異音が発生するケースが増えてきます。
異音が目立つようになったタイミングは、車検時に足回りの点検を依頼するとよいでしょう。
・10万Km超え…タイロッドエンドやロアアームなどの金属部品のガタつきが原因で異音が発生しやすくなる
足回りの異音を放置するリスクと安全性への影響
「コトコト」といった異音は、初期段階ではさほど気にならないかもしれませんが、放置することで思わぬトラブルに発展する可能性があります。
足回りの異常は乗り心地の悪化だけでなく、走行性能や安全性にも直結します。
ここでは、異音を軽視せずに早期対応すべき理由を詳しく解説します。
走行性能の低下と乗り心地の悪化
足回りの不具合によって車両の安定性が損なわれると、ハンドルの操作性やコーナリング時の挙動に影響が出ます。
スタビライザーやショックアブソーバーの劣化は、振動吸収性能の低下を招き、段差やカーブで不快な揺れや不安定さを感じるようになります。
乗り心地の悪化が続けば、長距離運転時の疲労感も増すため、早期の対応が重要です。
他の部品への連鎖的なダメージ
異音を発している部品が正常に機能していない場合、周辺の部品にも負担がかかり、連鎖的に不具合が広がることがあります。
たとえば、スタビリンクの異常がロアアームやアッパーマウントに影響を与えることもあります。
小さな異音が、最終的には大規模な修理につながる可能性があるため、早期の点検が推奨されます。
高額修理につながる前兆とは?
初期の異音を放置した結果、部品の破損が進み、アッセンブリ(部品一式)ごとの交換が必要になることもあります。
この場合、部品代や工賃が高額になり、数万円から十万円近い出費につながるケースもあります。
異音は「故障のサイン」ととらえ、早めに対処することで、結果的に修理費を抑えられることが多いです。
足回り異音が出たときの対処ステップ
車から「コトコト」という異音が聞こえたら、まずは焦らずに落ち着いて状況を把握することが大切です。症状を正確に記録し、信頼できる整備工場に相談することで、原因の特定と修理がスムーズに進みます。
ここでは、足回り異音に気づいたときの具体的な対処ステップを紹介します。
異音の発生状況を記録する重要性
異音が発生するタイミングや条件を記録しておくことで、整備士が原因を特定しやすくなります。
たとえば、「低速で段差を越えるとき」「右折時」「雨の日だけ」といった具体的な状況は、診断時に非常に役立ちます。
メモだけでなく、スマートフォンで音を録音しておくのもおすすめです。
整備工場・ディーラーの診断方法の違い
街の整備工場では経験に基づいた点検を中心に行うことが多く、ディーラーではメーカーごとの診断機器を使用するため、より詳細なデータ分析が可能です。
症状が複雑な場合や保証期間内であればディーラー、すぐに点検してもらいたい場合は整備工場、と使い分けるのがよいでしょう。
修理費用の相場と見積もりの取り方
足回り異音の修理費用は原因によって大きく異なりますが、スタビライザーのブッシュ交換であれば5,000円〜15,000円程度、ショックアブソーバー交換なら片側1万〜3万円が目安です。
複数の工場から見積もりを取ることで、適正価格かどうかを判断しやすくなります。
異音チェックのための試走のコツ
異音の原因を特定するためには、試走による確認が有効です。
整備士に依頼する際は、異音が出やすいルートを一緒に走ることで、再現性が高まり診断精度が向上します。
なお、自分で試走する際は、安全に配慮しながら、異音の発生タイミングに集中することが重要です。
実際の体験談:足回り異音「コトコト」で修理したケース
足回りからの「コトコト」音は、原因がさまざまで特定が難しいケースもあります。
ここでは、実際に異音に悩まされたドライバーたちの体験談を紹介し、どのような経緯で原因が判明し、修理されたのかを見ていきます。
これらの事例は、同様のトラブルに悩んでいる方の参考になるでしょう。
スタビブッシュ交換で解決した事例
あるユーザーは、走行中に段差を越えるたびに「コトコト」という小さな音に悩まされていました。ディーラーで点検を受けた結果、スタビライザーのゴムブッシュが劣化していたことが判明。
部品代と工賃を含めて約8,000円で交換を行い、異音は完全に解消しました。
原因不明から部品総交換までかかった例
別の事例では、軽自動車のユーザーが異音の発生に気づき、複数の整備工場で見てもらったものの原因が特定できず、結局足回りの複数部品(スタビライザー、ロアアーム、ショックアブソーバー)を一式交換することに。
費用は10万円以上かかりましたが、異音は無事収まりました。
異音が再発した失敗談とその対策
あるユーザーは、スタビライザーのブッシュをDIYで交換したものの、数カ月後に再び同様の音が発生。再点検の結果、タイロッドエンドのガタつきが原因だったことが判明しました。
異音の根本原因が1つではない場合もあるため、最初の段階で整備士による総合的な診断を受けるべきだったと話しています。
異音を予防するための日常メンテナンス
足回りの「コトコト」音は、日頃の点検と適切なメンテナンスによって未然に防ぐことが可能です。異音が発生してからでは修理費用が高額になるケースもあるため、予防整備の習慣を身につけておくことが大切です。
ここでは、具体的な予防策とメンテナンスのポイントを紹介します。
定期点検の実施タイミング
車検とは別に、半年~1年に一度の定期点検をおすすめします。とくに5万kmを超えたあたりからは、足回り部品に劣化が出やすくなるため、リフトアップを伴う点検でブッシュやアーム類のガタつきをチェックしてもらうと安心です。
グリスアップ・ブッシュ点検のすすめ
ゴムブッシュやボールジョイントなど、可動部分にはグリスが充填されており、これが劣化・漏れを起こすと異音の原因になります。
定期的に整備工場でグリスアップを行い、ブッシュの割れや硬化がないか目視点検を依頼しましょう。
車検時に見落とされがちな足回りチェック
実は車検時の法定点検では、足回りのすべてが細かくチェックされるわけではありません。
特に異音が出ていない場合は見逃されることもあるため、「段差で音がする」「低速時にコトコト聞こえる」といった自覚症状があれば、事前に整備士へ具体的に伝えることが大切です。
低速時の「コトコト」異音に対処するために知っておきたいこと
低速時の異音は故障の初期症状である可能性もあるため、軽く考えずに早めの対処が大切です。
しかし、いきなり整備工場に持ち込む前に、異音の特徴や状況を自分で把握しておくことで、診断や修理がスムーズになることもあります。
ここでは、異音に対してどのように対応すべきか、基本的な知識をまとめました。
異音は「軽視せず」に早期対応が大事
「少しの音だから…」と様子を見るうちに、部品の破損が進んで大掛かりな修理に発展するケースは少なくありません。
特に足回りの部品は他の部品と連携して動作しているため、一箇所の異常が周囲に波及するリスクがあります。
異音に気づいたら、できるだけ早めに点検を依頼しましょう。
症状のパターンを把握して整備士に伝えるコツ
異音の原因を特定するには、「どんな時に、どこから、どんな音がするのか」を具体的に把握して伝えることが重要です。
たとえば「右折時だけ」「縁石を越えた時」「乾いた金属音」など、条件と音質の情報が多いほど整備士の判断も的確になります。
可能であれば動画で録音・録画しておくのも効果的です。
まとめ
車の足回りから低速時に「コトコト」と異音が発生する原因は多岐にわたります。
スタビライザーのゴムブッシュやショックアブソーバー、タイロッドエンドなど、いずれも走行安全に関わる重要なパーツです。
異音が出るシチュエーションを正確に把握し、放置せずに早めに整備士に相談することで、トラブルの悪化を防げます。
また、日常的な点検やメンテナンスを意識することで、異音の予防にもつながります。
特に走行距離が伸びてきた車や段差の多い道をよく走る車は、足回りの部品に負担がかかりやすいため、注意が必要です。異音は車からの大切なサイン。
小さな変化にも気づける運転者の意識が、安全で快適なカーライフを支える鍵となるでしょう。