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ドアミラー(サイドミラー)の角度調整をしようとしたとき、「モーター音はするのにミラーが動かない」といった症状に心当たりはありませんか?
特に片側だけが動かない場合や、カタカタと異音がする状態は、内部部品の劣化や故障が原因かもしれません。
サイドミラーの不具合は放置していると安全確認に支障をきたし、車検にも通らなくなるおそれがあります。
また、モーターやギアのトラブルを放置すると、修理費用が高額になるケースも少なくありません。
この記事では、モーター音がするのにサイドミラーが動かない原因や応急処置、放置するリスク、修理費用の目安、DIYでの対応方法まで、幅広く解説します。
片側だけミラーが動かない症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
サイドミラーが動かないのにモーター音が鳴るときに考えられる原因とは?
サイドミラーのスイッチを押したときに「ウィーン」とモーター音が鳴るのに、実際にはミラーが動かないというトラブルは意外と多くの車種で発生しています。
動作音がしているということは電気系統が生きている証拠ですが、ミラーが動かない場合は内部のギアやモーター、配線などに問題が生じている可能性があります。
ここでは、その仕組みと主な原因を詳しく解説します。
ミラーが動かないのに音が鳴る仕組みとは
サイドミラーは、スイッチ操作により電動モーターが作動し、内部のギアでミラーの角度や格納動作を制御する仕組みになっています。
モーターが正常に作動しても、以下のような理由でミラー本体が動かなくなることがあります。
・ミラーが固着して動作に抵抗がかかっている
・ミラーホルダーやフレームの変形により動作が阻害されている
つまり、電気信号やモーターは生きていても、力がうまく伝わらないために“音だけ鳴って動かない”という症状が出るのです。
空回り音や異音の原因:内部ギアや配線の劣化
内部で「カタカタ」「ジーッ」といった異音がする場合、多くはギアや配線の不良が原因です。
以下に主な原因とその特徴を表にまとめました。
原因 | 音の特徴 | 発生しやすい症状 |
---|---|---|
内部ギアの摩耗・破損 | カタカタ、空回り音 | モーター音はするがミラーが動かない |
モーター内部の軸ずれ | ジジジ、ひっかかる音 | 途中で止まる、動きが鈍い |
配線の断線や接触不良 | 一瞬だけ音がする/音が不安定 | スイッチの反応が悪い、片側だけ動かない |
こうした異常音は、ミラーの中で何かが空回りしているか、信号がうまく伝わっていないサインです。早期に修理や点検を行うことで、ユニット全体の故障を防げます。
片側だけ動かない理由と、左右連動システムの特徴
「運転席側は動くのに助手席側だけ動かない」「左右で反応に差がある」といった症状が出ることもあります。
これは、左右で独立したモーターや配線が使われているため、片側だけに異常が起こることがあるからです。
・連動機能がある車でも、基本は個別動作の制御が基本
・片方だけ動かないときは、その側のギアや配線の不良が原因
特に冬場や雨の日などは、片側だけに湿気が溜まりやすく接触不良が起きるケースもあるため、片側だけの故障だからと油断せず、早めの確認・点検をおすすめします。
今すぐできる応急処置とモーター音の止め方
サイドミラーのモーター音が止まらない、あるいはミラーが動かない状態で空回り音が続く場合は、不安になりますよね。
すぐに修理に出せないときでも、応急的にできる対処法があります。
この章では、まず確認すべきポイントから、モーター音を一時的に止める方法まで、実践的な応急処置について解説します。
まず確認したい3つのポイント
モーター音が鳴るがミラーが動かないとき、まず以下の3点を落ち着いてチェックしましょう。
→何らかの理由で押しっぱなしの状態だとモーターが動き続けることがあります。
・車の電源(ACCまたはIG)がオンになっているか
→電源を切るとモーターも停止するため、まずは電源状態を確認してください。
・ドアミラーの動作モード(格納・展開・調整)をリセットする
→一度スイッチを全てニュートラル(OFF)に戻し、再度操作することで誤作動が改善する場合があります。
これらの確認だけでも、不具合が一時的に解消することがあります。
ヒューズの取り外しやバッテリー端子での一時対応
スイッチの操作で改善しない場合、電気的にミラーへの通電を遮断することでモーター音を止める方法があります。
ただし、応急処置であり知識が必要な作業です。
応急処置としてできることを以下の表にまとめました。
方法 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
ヒューズの取り外し | ミラー用の電源ヒューズを抜いて一時的に通電を遮断 | 車種ごとにヒューズの位置が異なるため、取扱説明書を確認 |
バッテリー端子を外す | マイナス端子を外すことで全体の電源を遮断 | 時計やナビがリセットされることがある |
いずれも、長期間このままにしておくのはおすすめできません。
あくまでモーター音が止まらない緊急時の一時的な対応策として考えてください。
無理にミラーを手で動かすのは危険?
ミラーが動かない場合、つい手で押して動かしたくなるかもしれませんが、これは故障を悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
・ミラーの位置がズレて、調整しても合わなくなることがある
・保証期間中の車なら、手動操作で破損すると保証対象外になることも
もし動かしたい場合は、モーター機構を完全にオフにした状態(ヒューズを抜いた後など)で、慎重に行うことが望ましいです。
基本的には無理に動かさず、早めに整備工場で点検してもらうのがベストです。
放置するとどうなる?動かないサイドミラーのリスク
サイドミラーの不具合は、「とりあえず運転できるから」と後回しにされがちです。
しかし、動作しないまま放置すると、安全性の低下だけでなく、車検不合格や修理費用の増大といった問題にもつながります。
この章では、サイドミラーが動かない状態を放置することの主なリスクについて解説します。
走行中の安全確認に支障が出る危険性
サイドミラーは、安全運転の基本となる“後方・側方の確認”に欠かせない装備です。
動作不良により角度調整ができない、格納したまま戻らないといった状態では、次のような危険性が生じます。
・駐車時や狭い道での接触リスクが上がる
・高速道路などでの追い越し判断が困難になる
事故を未然に防ぐためにも、ミラーの可動不良は決して軽視できません。
ドア内部に影響が及ぶ可能性も
モーターやギアが空回りしている状態が続くと、その振動や異音がドア内部の他の部品に悪影響を及ぼすことがあります。
特に長期間モーター音が鳴りっぱなしの場合、以下のような二次被害が発生する可能性があります。
・ドア内部の部品(スピーカー・窓モーターなど)への振動干渉
・バッテリーの過放電リスク(長時間通電し続けた場合)
最初はミラーだけの問題でも、結果的に大がかりな修理が必要になることもあるため、早期対応が重要です。
ミラーが壊れた状態では車検に通らない?
サイドミラーの故障は、実は車検の検査項目にも関係しています。
ミラーが明らかに機能していない、または格納したまま戻らないといった状態では、以下のように車検不適合となる可能性があります。
・電動格納機能が付いている車は、その機能も検査対象
・整備不良車として指摘されることも
仮に車検に通ったとしても、ディーラーや整備工場では整備を強く勧められる状態になります。
「ミラーぐらい」と油断せず、法的な面からも放置は避けた方が賢明です。
サイドミラーのモーター修理・交換にかかる費用目安
サイドミラーのモーターが故障した場合、修理か交換のどちらかを選ぶことになりますが、その費用は症状や車種、依頼先によって大きく異なります。
ここでは「モーターのみの交換」「ユニットごとの交換」「依頼先別の料金相場」の3点から、具体的な費用目安を解説します。
モーターのみ交換した場合の相場
モーター単体の不具合であれば、ユニット全体ではなくモーター部分だけを交換することで費用を抑えることができます。
費用相場は以下の通りです。
・工賃(取り外し・交換作業含む):8,000円〜15,000円
・合計目安:13,000円〜25,000円前後
ただし、モーター単体での交換ができるかどうかは車種によります。
分解修理が難しい構造の場合は、ユニット全体の交換が必要となります。
ユニットごと交換になるケースと費用の違い
内部ギアやミラー本体にまで損傷が及んでいる場合は、ユニットごと交換することになります。
この場合は部品代が高額になるため、修理費用も大きくなります。
・リビルト品や中古品を使うと:10,000円〜25,000円
・交換工賃:10,000円〜15,000円 ・合計目安:25,000円〜50,000円以上
ミラーにウインカーやカメラが内蔵されている場合は、部品代がさらに高くなる傾向があります。
ディーラー・整備工場・カー用品店の料金比較
依頼先によっても費用は大きく変わります。
以下の表に、一般的な費用感をまとめました。
依頼先 | メリット | デメリット | 費用目安(税込) |
---|---|---|---|
ディーラー | 純正部品で確実に対応、保証あり | 費用が最も高くなる傾向 | 35,000円〜60,000円 |
整備工場 | 柔軟な対応、部品の選択肢が多い | 部品の取り寄せに時間がかかることも | 20,000円〜45,000円 |
カー用品店 | 軽作業であればスピーディーに対応 | 対応できる車種・症状に制限あり | 15,000円〜30,000円 |
「どこに依頼するか」で費用が1.5倍〜2倍違うこともあるため、まずは複数店舗で見積もりを取るのがおすすめです。
車種や年式によるサイドミラー故障の傾向
サイドミラーの不具合は、車種や年式によって発生しやすい症状や原因に違いがあります。
特に電動格納式やウインカー内蔵ミラーなど、機能が複雑化した近年の車ではトラブルの傾向も変化しています。
この章では、国産主要メーカーの特徴や、年式ごとの傾向などを詳しく見ていきましょう。
トヨタ・ホンダ・日産などでよくある症状例
日本の主要メーカー車では、サイドミラーに関する以下のようなトラブルが報告されています。
・ホンダ車:配線の断線や端子の腐食による片側不良が比較的多い
・日産車:冬季にミラーが凍結し、モーター焼けや過負荷による故障が目立つ
いずれも10年以上前のモデルに多く見られますが、年式が新しくても過走行や屋外保管による劣化は油断できません。
電動格納機能付き車で起こりやすいトラブル
電動格納式ミラーを搭載している車は便利な一方で、トラブルも複雑になりがちです。
特に以下のような症状が起こりやすくなります。
・エンジンON/OFF時に「カタカタ」と異音がする
・自動格納の連動設定が誤作動し、片側だけ格納しっぱなしになる
こうしたトラブルは、頻繁な開閉や経年劣化の積み重ねによって発生することが多く、メカ的な摩耗と電装系の不調が同時に絡んでいることもあります。
年式が古い車はミラー周りが故障しやすい?
一般的に、製造から10年以上が経過した車両では、サイドミラーの劣化が顕著に見られるようになります。
以下のような要因で不具合が起きやすくなります。
・ミラー内部のギアがプラスチック製で、経年劣化により割れやすい
・配線が湿気や振動で断線・ショートしやすくなる
・可動部にグリス切れや固着が発生することも
特に雨ざらしで保管されている車は、腐食や湿気の影響でトラブルのリスクが高まります。
年式が古い車ほど、早めの点検と必要に応じた予防整備が重要です。
故障前に気づける!サイドミラーの異変サインと前兆
サイドミラーが突然動かなくなる前には、何らかの小さなサインが現れていることが多くあります。見逃しがちな予兆を早めにキャッチできれば、重大な故障を防ぎ、修理費用を抑えることにもつながります。
この章では、よくある前兆とそのチェック方法、気をつけるべきタイミングについて解説します。
「動きが遅い」「途中で止まる」は要注意
電動ミラーの動きが普段よりも鈍かったり、途中で引っかかるような動作をする場合、内部のモーターやギアに不具合が生じ始めている可能性があります。
以下のような動きがあったら要注意!
・動作中に一瞬止まって再び動き出す
・格納時だけ動きが重たい感じがする
これらの症状は、ギアの摩耗や潤滑不良、モーター出力の低下が原因であることが多く、放置すると突然の故障につながります。
異音やカタカタ音がする場合のチェック方法
異音もまた、サイドミラーの不具合を知らせる重要なサインです。
特に以下のような音がする場合は注意が必要です。
・ジジジという擦れる音:モーターが無理に作動している
・断続的な「カチカチ音」:リレーの誤作動や接触不良
チェック方法としては、エンジンをかけてミラーを開閉したり、角度調整をしながら音をよく聞くことです。室内が静かな状態で試すと、微かな異音にも気づきやすくなります。
症状が出やすいタイミング:寒い朝や雨の日とは?
サイドミラーの不調は、特定の気象条件で起こりやすい傾向があります。
以下のような環境では、特に注意してミラーの動作を確認してください。
・雨の日:湿気により配線の接触不良や短絡が発生しやすい
・梅雨時:内部に水分が入り込み、カビや腐食が進行する
このようなタイミングで不調を感じたら、早めに点検を依頼することで、完全な故障を未然に防ぐことが可能です。
自分で直すことは可能?DIY修理の方法と注意点
サイドミラーの不具合は、場合によっては自分で修理できることもあります。
特にモーターや配線の一部交換、可動部分の調整であれば、DIYで対応できるケースも。
ただし、電装部品を扱う作業のため、リスクや失敗の可能性も伴います。
この章では、DIYでの修理方法や注意点について詳しく解説します。
必要な工具と作業の流れ
まずは、DIYでサイドミラー修理を行う際に必要な工具と、基本的な作業手順を押さえておきましょう。
・内張り剥がし(プラスチック製が望ましい)
・プラスドライバー/トルクスドライバー
・絶縁テープまたは配線用コネクタ
・新しいモーターまたはミラーユニット(車種に適合したもの)
1. ドアの内張りを外す
2. サイドミラーを固定しているボルトを緩める
3. コネクタを外し、故障したミラーを取り外す
4. 新しいミラーやモーターを取り付けて配線を接続
5. 内張りを元に戻して動作確認を行う
作業時間は1〜2時間が目安ですが、車種や構造によってはもっと複雑になる場合もあります。
初心者がやるときの注意点とは?
DIYに不慣れな方が作業する場合は、次のような点に注意しましょう。
・ミラーを外す際に配線を無理に引っ張らない(断線防止)
・トルクのかけすぎで部品を破損しないよう慎重に作業する
・電動格納やウインカー内蔵タイプは構造が複雑なので難易度が高め
作業中にわからない部分があれば、YouTubeなどの車種別解説動画を参考にするのも有効です。
DIYで失敗するとどうなる?リスクの紹介
DIY修理にはコスト削減というメリットがありますが、失敗すると以下のようなリスクを伴います。
・配線を傷めるとウインカーやロック機能にまで不具合が波及する
・車検対応の問題が出る可能性がある
・作業ミスによる火災
・ショートなどの電気的トラブル
特に、保証期間中の車両では、DIY修理を行うことで保証対象外となることもあるため、自己責任での判断が必要です。
少しでも不安があれば、無理をせずプロに依頼することをおすすめします。
サイドミラー故障に関するよくある質問
サイドミラーの不具合については、ユーザーからよくある疑問や誤解が多数あります。
この章では、よく寄せられる質問に対して、トラブルの可能性や対処法をわかりやすく回答形式でご紹介します。
モーター音がするけど壊れてない可能性はある?
はい、あります。
モーター音がしているにもかかわらずミラーが動かない場合、原因はモーター本体ではなく以下のような部品や状況にあることが多いです。
・ミラー本体の固着や可動部の劣化
・外部からの衝撃による位置ズレ
この場合、モーターは正常に動作しているため、「完全に壊れている」とは限らず、部分的な補修で済む可能性もあります。
一時的に動作不良になることもある?
はい、あります。
特に次のような条件では一時的にミラーの動作が鈍くなる、または止まることがあります。
・長時間の使用によるモーターの過熱
・バッテリー電圧が低下している状態
このようなときは、一度エンジンを再始動して様子を見る、時間をおいて再度操作することで改善する場合があります。
ただし、頻繁に症状が出る場合は早めの点検をおすすめします。
片方が動かないだけなら運転しても問題ない?
法律的には、左右いずれかのミラーが正常に機能していれば走行は可能です。
ただし、安全性の観点からは以下の理由で非常にリスクがあります。
・走行中の後方確認が難しくなる
・事故時に「整備不良」として過失割合に影響する可能性
また、車検では左右どちらのサイドミラーも正常に動作していることが望ましいとされており、不具合が明確な場合は指摘を受ける可能性があります。
片側だけでも早めの修理を推奨します。
まとめ:サイドミラー片方が動かないときは原因を見極めて早めに対処を
サイドミラーが動かず、モーター音だけが鳴っている状態は、多くの場合で内部のギア破損や配線トラブルなどが関係しています。
一見すると軽微な不具合のように思えるかもしれませんが、安全性や車検、将来的な修理費用を考えると、決して放置すべきではありません。
応急処置でモーター音を止めたり、DIY修理で一時的な改善ができることもありますが、根本的な原因を突き止めるには専門的な診断が必要です。
とくに年式が古くなってきた車や、電動格納機能付きの車両ではトラブルの発生頻度も高まります。
また、ミラーの動作不良は走行時の安全確認に直結するため、片側だけの不具合であっても安心して運転するには不十分です。
異音や遅れ、引っかかりなどの小さな前兆が出た時点で、早めに点検・修理を行うことが大切です。
不具合の兆候を見逃さず、「おかしいな」と思ったら迷わず対処する。
この心がけが、大きなトラブルを防ぎ、安全なカーライフを守る第一歩となります。