車の塗装剥がれは見た目が悪くなるだけでなく、放置するとサビや腐食が進行し、修理費用が大幅に膨らむ原因にもなります。
特に屋外駐車や長年の使用による紫外線・雨水の影響で、ボンネットやルーフ(屋根)から剥がれが広がるケースは少なくありません。
しかし、塗装の修理方法や料金は「部分補修」「全塗装」「部品交換」など内容によって大きく異なります。
この記事では、車の塗装剥がれ修理料金の相場をはじめ、費用が変動する理由、塗装剥がれの原因と予防法、さらにDIY補修の可否まで幅広く解説します。
保険やメーカー保証が適用できるケースも紹介するので、できるだけ負担を減らして修理したい方にも役立つ内容です。
愛車の見た目と価値を守るためにも、適切な修理方法とタイミングを知っておきましょう。
車の塗装剥がれ修理の種類と料金目安
塗装剥がれの修理方法は、剥がれた範囲や原因、車の状態によって異なります。
代表的な修理方法には「部分補修」「全塗装」「部品交換」があり、それぞれに費用や仕上がりの特徴があります。
部分補修(スポット塗装)の相場と特徴
小規模な塗装剥がれであれば、剥がれた部分だけを直す部分補修(スポット塗装)が可能です。
相場は1万円〜3万円ほどで、短時間かつ低コストで済むのがメリットです。
ただし、経年劣化で周囲の塗装が色あせている場合、補修部分と既存塗装の色が微妙に異なり、仕上がりに差が出ることがあります。
全塗装の相場と仕上がりの違い
剥がれが広範囲に及ぶ場合や車全体が色あせている場合は、全塗装が検討されます。
相場は20万円〜60万円程度で、使用する塗料の種類や下地処理の丁寧さによって価格が変動します。
全体を塗り直すため、新車同様の見た目を取り戻せますが、施工期間と費用は高くなります。
部品交換を伴う場合の料金
塗装面だけでなくパネルや部品自体が損傷している場合は、部品交換が必要です。
ボンネットの交換は5万円〜15万円、ドアやフェンダーの交換は3万円〜10万円程度が目安です。
部品代に加えて塗装費が別途かかるため、場合によっては全塗装と同等かそれ以上の費用になることもあります。
塗装以外の補修費用相場
塗装剥がれは、他の車体ダメージと同時に修理するケースが多く、追加作業によって総額が変わります。
へこみ修理の料金目安
小さなへこみは板金作業のみで修理でき、1万円〜3万円程度が相場です。
しかし、広範囲や複雑な形状のへこみでは、板金と塗装を合わせて5万円以上かかることもあります。
傷の補修料金
浅い擦り傷はコンパウンド磨きで数千円〜1万円ほどで修復可能です。
一方、金属面まで達している深い傷は塗装修理が必要で、1万5千円〜5万円程度が相場となります。
サビ除去・再塗装の費用
サビが表面だけの場合は、除去と再塗装で1万円〜3万円程度で済みます。
ただし、サビが深く進行しパネルに穴が開いている場合は、溶接や部品交換が必要となり、5万円以上の費用になるケースもあります。
修理料金が変動する主な要因
塗装剥がれの修理費用は一律ではありません。
以下の要素によって大きく異なるため、事前に理解しておくことが大切です。
塗料の種類やカラーコードの違い
高品質な塗料やメタリック、マットなどの特殊塗装は、スタンダードな塗料より20〜50%の追加費用がかかることがあります。
剥がれ以外の損傷がある場合
塗装剥がれだけでなく、へこみやサビ、傷がある場合は、それに応じた補修作業が必要になり、当然ながら費用が上乗せされます。
たとえば、へこみ修理を併せて行うと、総額で倍近くの出費になる可能性もあります。
下地や見えない部分の劣化
見ただけでは判断できない部分、たとえばクリア層の劣化や錆の進行がある場合、丁寧な下地処理が必要です。
これにより、仕上がりが長持ちする反面、手間と作業時間が増え、価格も上がります。
業者ごとの見積もり差
同じ修理内容でも、店舗や工場によって見積もりの内容や価格が異なることがあります。
材料の質、塗装技術、作業工程の丁寧さによって差が生まれるため、複数店で比較するのがおすすめです。
車の塗装剥がれは保険や保証で対応できる?
修理にかかる費用をできるだけ軽くしたい場合、自動車保険やディーラー保証の適用が可能かどうかを確認する必要があります。
自動車保険でカバーされるケース
車の塗装剥がれは、加入している任意保険の車両保険でカバーされる場合があります。
例えば以下のようなケースが対象です。
-
事故による塗装剥がれ
他車や物との接触・衝突によって塗装が剥がれた場合、車両保険が適用されます。 -
飛来物やいたずらによる損傷
石はねや落下物、悪意あるいたずらによる塗装剥がれも、補償対象になることがあります。
ただし、経年劣化や自然な退色・剥がれは保険適用外となるのが一般的です。
また、修理費用が免責金額以下の場合は保険を使うメリットが少ないため、自己負担で修理したほうが良い場合もあります。
保険適用外となるパターン
車の塗装剥がれでも、経年劣化や自然な塗装のはがれは「摩耗・経年損耗」として扱われ、多くの場合、保険の補償対象外となります。
また、長年の使用による傷・汚れ・塗装のくすみなども、経年変化として補償の対象外となるのが一般的です。
このため、明らかに事故や飛来物による損傷でない限り、修理は自己負担になるケースがほとんどです。
ディーラー保証やメーカー保証の有無
塗装剥がれの主な原因
車の塗装が剥がれるには、日常の環境や条件から徐々に劣化が進むことが多く、以下のような要因が主な原因となっています。
紫外線・熱による劣化
日本の強い紫外線は、塗装の最上層であるクリア層を徐々に破壊し、色あせや白く粉を吹く“チョーキング現象”を引き起こします。
紫外線によって塗膜が乾燥し、ひび割れ(クラッキング)が進行すると、塗装そのものが剥がれ落ちることもあります。
特に屋根やボンネットのような直射日光を受けやすい場所は、劣化が早く進行します。
雨水や水滴の影響
雨や洗車後に残された水滴がボディに残ると、乾燥時に塗装面にミネラルや不純物が残留し、ウォータースポットやイオンデポジットとして塗膜を侵食します。
これがクリア層にダメージを与え、その部分から剥がれが広がる原因になります。
特に太陽光の熱と組み合わさると劣化が加速します。
汚れや塩分の蓄積
花粉・鉄粉・鳥のフン・塵などの汚れが付着し放置されると、酸や化学反応により塗膜が劣化します。
沿岸地域では潮風や塩分による腐食リスクが高く、これらが塗装を徐々に傷めて剥がれの原因となります。
物理的な傷やへこみ
飛び石による小さな打痕や、ドアの接触による微小なへこみが塗装層を破壊し、そこから塗装が剥がれ始める場合があります。
小さなダメージでもその部位が劣化の“トリガー”となり、腐食や広範囲の剥がれに繋がる可能性がありますので、早期発見・修理が重要です。
塗装剥がれを防ぐためのメンテナンス
日々のケアで塗装の劣化を抑えて、お手入れの手間や修理費用を大幅に減らせます。
以下に、特に効果的な方法をまとめました。
屋外駐車時の日除け対策
直射日光による紫外線ダメージは塗装の劣化を早める主な原因です。
光を遮るカーポートや屋根付き駐車場が理想ですが、難しい場合は高品質なカーカバーで保護しましょう。
効果のあるものは長期的なコーティング効果が期待できます。
洗車と拭き上げの習慣化
定期的な洗車は、鉄粉やホコリなどの塗装を傷める粒子を洗い流し、劣化を抑える基本的な対策です。
洗車後はマイクロファイバーなど柔らかいクロスで水滴を入念に拭き取ることで、ウォータースポットの発生を防ぎます。
コーティング施工の効果と種類
ボディにコーティングを施すと、塗装を紫外線や汚れから守る「犠牲被膜」として機能します。
耐久性や水の弾きに応じて、以下の3タイプから選べます。
- ポリマーコーティング:手軽に施工でき、半年〜1年持続
- ガラスコーティング:耐久性が高く、3〜5年持続【効果的な持続性と光沢アップ効果】
- セラミックコーティング:さらに高耐久・高保護力で、5年以上持続可能な上級グレード
ワックスや保護フィルムの活用
ワックスは塗装表面に保護膜を形成し、汚れ防止と光沢維持に効果的です。
また、飛び石や虫汚れが気になる部分には、透明保護フィルム(PPF)の部分施工がおすすめ。
特にボンネットやフェンダー周辺の塗装保護に役立ちます。
DIYでの塗装補修は可能?
傷や剥がれの小規模な補修であれば、市販のDIYキットを活用することで自宅での対応も可能です。以下、ポイントを詳しく解説します。
市販補修キットの特徴と限界
ホルツ「簡易補修キット キズ直し安心セット」は、浅い擦り傷や小キズの補修に有効なコンパウンドセットです。
初心者でも気軽に対応できますが、色合わせや下地処理の難易度が高く、大きな剥がれや構造部への損傷には向いていません。
DIY補修の手順と注意点
DIY補修は下記の手順を踏むと失敗が少ないです。
- 補修箇所の汚れやワックスを除去
- 細かなサンドペーパーで下地を整える
- コンパウンドで磨き、必要なら耐水サンドペーパーで整える
- 状況に応じてタッチペンやクリア塗料で仕上げ
注意点として、新車塗装の色調を完璧に再現するのは難しく、素人目には分かりづらい微妙な仕上がり差が生じることがあります。
業者依頼との仕上がり比較
業者に依頼すると、下地処理から塗装技術までプロ仕様の仕上がりになります。
ほとんど色差がなく、耐久性も高いのがメリットです。
DIYは費用を抑えられますが、品質重視なら業者依頼が安心と言えます。
まとめ
車の塗装剥がれは、一度進行してしまうと修復に大きな費用と手間がかかります。
しかし、日常的な予防メンテナンスを行うことで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。
紫外線や汚れから守るためのカバーやコーティング施工、定期的な洗車と水分の拭き取りは、塗装を長持ちさせるための基本的な対策です。
また、塗装が剥がれ始めた場合は、DIY補修キットを活用するか、仕上がり重視で業者に依頼するなど、状況に合わせた選択が重要です。
さらに、飛び石や虫汚れがつきやすい部分には保護フィルムの施工を検討することで、長期的に美しい外観を保てます。
日々の小さな積み重ねが、愛車の価値と見た目の美しさを守る大きな鍵となります。