エンジンマウントは劣化してもすぐに走行不能になるわけではないため、交換を後回しにしてしまう方も少なくありません。
しかし放置すると、振動や異音の悪化だけでなく、周辺部品や車全体に余計な負担をかける原因となります。
その結果、修理費用がかえって高額になるケースもあります。
ここでは、エンジンマウントを交換せずに放置するとどうなるのかを具体的に解説します。
快適性・安全性・コストの観点から、早めの交換がなぜ重要なのかを見ていきましょう。
N-BOXのエンジンマウントとは?役割と劣化サイン
エンジンマウントは、エンジンを車体フレームに固定しつつ、発生する振動や衝撃を吸収するための重要な部品です。
ゴムと金属で構成されており、エンジンの揺れを抑えて車内に伝わる不快な振動を軽減する役割を果たしています。
N-BOXのような軽自動車においても快適性や静粛性を保つために欠かせません。
振動・異音・加速時のガツン!は劣化のサイン
エンジンマウントが劣化すると、ゴム部分が硬化・ひび割れし、本来の振動吸収性能が低下します。具体的には次のような症状が現れやすくなります。
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- アイドリング時に車体全体がブルブル振動する
- 発進や停止時に「ガツン」と大きな衝撃を感じる
- エンジンルームから「ゴトゴト」「ガタガタ」と異音がする
- シフトチェンジの際に違和感や衝撃が強い
- 走行中にハンドルが細かく振動する
- エアコン作動時に振動がより大きくなる
これらの症状が出た場合は、エンジンマウントの劣化を疑い、早めに点検を依頼するのが安心です。
推奨交換時期(10年または10万kmが目安)
一般的にエンジンマウントの寿命は約10年または走行距離10万km前後が目安とされています。
ただし、走行環境や使用状況によって劣化のスピードは変わります。
特にストップ&ゴーの多い街乗りや、段差の多い道路を頻繁に走行する場合は、早めに劣化するケースもあります。定期点検時に確認してもらうと安心です。
エンジンマウント交換を放置するとどうなる?
「振動や音が少し気になるけどまだ走れるから大丈夫」と放置すると、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。
ここでは放置による主なリスクを解説します。
振動・異音が悪化し快適性が低下
劣化したエンジンマウントでは振動が十分に吸収されず、車内の快適性が大きく低下します。
運転中にストレスを感じるだけでなく、長時間の運転では疲労の原因にもなります。
周辺部品への負担や故障リスクが増大
エンジンの揺れが大きくなることで、排気系・冷却系・駆動系などの周辺部品に余計な力が加わり、配管やホースの破損、エキゾーストマニホールドのひび割れなどを引き起こす可能性があります。結果的に修理範囲が広がり、余計な出費につながります。
早めの交換が結果的に費用を抑える理由
エンジンマウント交換自体の費用は数万円程度ですが、放置して他の部品まで損傷してしまうと修理費用が数十万円に膨れ上がるケースもあります。
振動や異音が気になった時点で交換を検討すれば、部品代と工賃だけで済み、トータルコストを抑えられるのです。
交換費用の目安(部品+工賃)
エンジンマウント交換にかかる費用は、依頼先や作業内容によって異なります。
ここでは業者依頼とDIY、それぞれの費用感を見ていきましょう。
業者に依頼するとどれくらい?
N-BOXのエンジンマウント交換を業者に依頼する場合、部品代+工賃で約3万〜5万円が目安です。
1カ所のみ交換する場合は安く済みますが、複数箇所まとめて交換することが推奨されるため、結果的に3〜4万円程度になるケースが多いです。
ディーラーに依頼すると純正部品を使用するため安心感は高いですが、やや費用が高めになる傾向があります。
N-BOXのエンジンマウント交換を業者に依頼する場合、費用の目安は以下の通りです。
依頼先 | 費用相場 | 特徴 |
---|---|---|
ディーラー | 3万〜5万円 | 純正部品使用で安心だが費用は高め |
整備工場 | 2.5万〜4万円 | 社外品対応可・費用はディーラーよりやや安い |
カー用品店 | 2万〜4万円 | 店舗によっては対応不可、事前確認必須 |
DIYの場合の部品代・必要工具費用は?
DIYで交換する場合、部品代は1万円前後から購入可能です。
社外品を選べばさらに安く抑えられることもあります。
ただし、交換にはエンジンを支えるためのジャッキやリジットラック、トルクレンチなど専用工具が必要で、安全面を考えると整備経験のない方には難易度が高い作業です。
工具を新たに揃える場合は、数千円〜数万円の初期投資が必要となるため、「DIYが得かどうか」は手持ち工具や整備スキルによって大きく変わります。
- フロアジャッキ・リジットラック(エンジンを安全に支える)
- トルクレンチ(規定トルクでボルトを締める)
- ソケットレンチ・スパナ類
- 軍手・安全保護具
店舗別費用比較と依頼時の注意点
エンジンマウント交換は、依頼する店舗によって費用やサービス内容に違いがあります。
代表的な依頼先ごとの特徴を整理しました。
ディーラー/整備工場の費用相場
ディーラーで交換すると約3万〜5万円が相場です。
純正部品を使うため品質・安心感は抜群ですが、その分費用はやや高めになります。
一方、街の整備工場に依頼すると、社外部品を選べる場合もあり、ディーラーよりも若干安く収まることもあります。
カー用品店(オートバックス等)の費用相場と事前確認
オートバックスやイエローハットといったカー用品店でもエンジンマウント交換を受け付けている場合があります。
費用は2万〜4万円程度が目安ですが、店舗や車種によって対応できないケースもあるため、事前に「部品持ち込み可否」「作業対応可否」「費用見積もり」を確認しておくことが重要です。
費用をお得に抑えるためのコツ
エンジンマウント交換は決して安い作業ではありませんが、ちょっとした工夫で出費を抑えることができます。
ここでは、費用を節約するためのポイントをご紹介します。
複数個所まとめて交換すると工賃割引あり
エンジンマウントは車体に数カ所取り付けられており、劣化のタイミングもほぼ同じです。
そのため1つが劣化している場合、他の部位も近いうちに交換が必要になるケースが多いです。
複数個所を同時に交換すると、工賃がまとめられて割安になることが多いため、長期的に見てコストを抑えられます。
整備工場に見積もりを依頼する際には、全数交換と個別交換の両方で費用を確認すると安心です。
交換方法 | 費用目安 | 特徴 |
---|---|---|
1箇所のみ交換 | 約1.5万〜2万円 | 当面は安いが、後から他部位も劣化する可能性大 |
全数交換(3〜4箇所) | 約3万〜5万円 | 一度に交換できるので工賃を節約でき、安心感も高い |
社外品 vs 純正の比較
エンジンマウントの部品は、ディーラーで取り扱う純正品と、カー用品店やネットショップで購入できる社外品の2種類があります。
- 純正品:品質・耐久性に優れ、安心感がある。ただし費用は高め。
- 社外品:価格が安く、選択肢が多い。品質はメーカーによって差がある。
「耐久性を重視して長く安心して乗りたい」なら純正を選ぶのが無難ですが、「コストをできるだけ抑えたい」場合は評判の良い社外品を検討するのも有効です。
まとめ
N-BOXのエンジンマウントは、振動や異音を抑えて快適な走行を支える重要な部品です。
劣化すると乗り心地が悪化するだけでなく、周辺部品に負担をかけて修理費用が膨らむ原因にもなります。
交換費用は業者依頼で3万〜5万円前後、DIYなら部品代1万円前後が目安ですが、作業の難易度を考えると多くの方は業者依頼が安心でしょう。
また、複数個所をまとめて交換したり、社外品を上手に選んだりすることで、費用を抑えることも可能です。
定期的な点検と早めの対応を心がけることで、結果的に余計な出費を防ぎ、長く快適にN-BOXを乗り続けられるでしょう。