車のバックドア(リアゲート)が閉まらなくなると、荷物を積むときに不便なだけでなく、走行中に開いてしまう危険性もあり、とても困ります。
原因はロック機構の不具合やセンサーの故障、ヒンジの歪みなどさまざまですが、中には荷物の挟まりやキーの電池切れといった簡単な理由で起こることも少なくありません。
本記事では、バックドアが閉まらないときにまず確認すべきポイントから、考えられる主な故障原因、自分でできる応急処置、そして修理にかかる費用の目安まで詳しく解説します。
さらに、修理業者を選ぶときの注意点や、再発防止につながるメンテナンス方法も紹介。
この記事を読むことで「すぐ試せる対処法」から「修理費用の相場」「業者選び」までひと通り理解でき、安心してバックドアのトラブルに対応できるようになります。
バックドアが閉まらないときにまず確認すべきこと
バックドアが閉まらないと慌ててしまいがちですが、修理を依頼する前に自分で確認できることがあります。
意外と単純な原因で起こっているケースもあるため、まずは基本的なチェックから始めましょう。
荷物の挟み込みや異物の有無をチェック
バックドアが閉まらない原因で最も多いのが、トランク内の荷物や異物が邪魔をしているケースです。
買い物袋や傘の柄、布団などのかさばる荷物がドアの閉まりを妨げていることがあります。
また、ストライカー部分に小石や砂、落ち葉などの異物が入り込んでロック機構がうまく噛み合わない場合もあります。
まずはバックドアの開口部を確認し、荷物や異物を取り除いてから再度閉めてみましょう。
スマートキーやバッテリーの不具合がないか確認
電動バックドアを搭載している車では、スマートキーの電池切れや車両バッテリーの不具合が原因でドアが閉まらなくなることがあります。
スマートキーの電池が弱っていると、ロック信号がうまく送れず、ドアが閉じない・施錠できないといった症状が出やすくなります。
また、車両バッテリーの電圧が低下していると、モーターに十分な電力が供給されず動作不良を起こすこともあります。
修理を考える前に、キーの電池交換やバッテリーの状態を確認してみましょう。
手動操作でロックできるか試す
電動バックドアの場合でも、手動で閉めてロックがかかるか確認することは大切です。
手動で問題なく閉まるのであれば、センサーやモーターなど電装系に原因がある可能性が高いです。
一方、手動でもロックできない場合は、ストライカーやロック機構の物理的な不具合、または車体の歪みなどが疑われます。
まずは手動で閉めて反応を確認することで、原因が「電気系」か「機械系」かを切り分けることができます。
故障につながる主な原因と症状
バックドアが閉まらない原因はさまざまですが、大きく分けると機械的な不具合と電気的なトラブルに分けられます。
それぞれの特徴を知っておくことで、修理が必要かどうかを判断しやすくなります。
ロック機構やストライカーの摩耗・不具合
バックドアを閉めたときにカチッと噛み合う部分がストライカーです。
この部品やロック機構が摩耗していると、ドアがしっかり閉まらなくなります。
また、位置がずれている場合も正常にロックできません。
症状としては「半ドア状態が続く」「閉めてもすぐ浮いてくる」といったものがあります。
長年の使用や頻繁な開閉で摩耗するため、定期的な点検が必要です。
電動バックドアのセンサーやモーター故障
電動バックドアの場合、センサーやモーターの異常が原因で閉まらなくなることがあります。
センサーが誤作動すると、障害物がなくても「挟み込み防止」と誤認して開いてしまうことがあり、モーターの劣化や焼き付きでは動きが途中で止まります。
症状としては「閉めてもすぐ跳ね返る」「途中で止まる」といった現象が代表的です。
これらは素人が修理するのが難しいため、専門業者での点検が必要です。
ヒンジや車体の歪みによるズレ
バックドアはヒンジで支えられていますが、長年の使用や事故、荷物の重みでヒンジが歪むことがあります。
また、車体が衝撃でゆがむとバックドアの位置が合わなくなり、閉まらない原因となります。症状としては「片側だけ浮く」「閉めても隙間ができる」などが挙げられます。
この場合は調整や修正が必要となり、DIYでの対応は難しいケースがほとんどです。
ワイヤーや配線トラブルによる開閉不良
電動バックドアはモーターやセンサーに加えて、内部にワイヤーや配線が張り巡らされています。
これらが断線したり接触不良を起こすと、開閉が正常に動作しなくなります。
症状としては「反応が不安定」「一度閉まった後すぐに開く」といった現象が多いです。
配線トラブルは見た目で判断しにくく、専門的な点検が必要になるため、長引く場合は修理工場に依頼するのが賢明です。
自分でできる応急処置とメンテナンス方法
すぐに修理へ出せないときでも、いくつかの応急処置や簡単なメンテナンスで改善することがあります。以下は自分で試せる方法です。
センサーやストライカーの清掃で改善するケース
バックドアが閉まらない原因がゴミや汚れであることは少なくありません。
特にストライカーやセンサー部分に泥やほこりが付着すると、正常に動作しなくなることがあります。
柔らかい布やエアダスターを使って汚れを落とし、必要であれば接点復活スプレーを使用すると改善することがあります。
定期的に清掃を行うことで、トラブルを未然に防ぐこともできます。
スマートキー電池や車両バッテリーの交換
スマートキーの電池切れは、バックドアが閉まらないトラブルの中でもよくある原因です。
100円ショップやカー用品店で購入できるボタン電池で簡単に交換できるため、まず試す価値があります。
また、車両バッテリーが弱っている場合はエンジンのかかり方にも違和感が出るため、バッテリー電圧を確認し必要なら交換しましょう。
電源系のリフレッシュは電動ドアの安定動作に直結します。
車両コンピュータのリセット・再起動を試す
一部の車種では、車両コンピュータが誤作動を起こすことでバックドアが正常に閉まらないことがあります。
この場合、車両を再起動したり、バッテリー端子を外してリセットすると改善するケースがあります。
ただし、電装系のリセットにはリスクもあるため、取扱説明書を確認して正しい手順で行うことが大切です。
安易な分解や長時間の端子外しは避けましょう。
定期的な潤滑剤やグリスアップの効果
バックドアのヒンジやロック部分には金属同士が擦れる部分が多いため、潤滑剤を差すことでスムーズな動作を維持できます。
潤滑不足は摩耗を早め、閉まらない原因につながるため、定期的なメンテナンスが有効です。
ホームセンターやカー用品店で販売されているグリスや潤滑スプレーを、ヒンジやロック機構に軽く吹き付けるだけでも効果があります。
清掃と合わせて定期的に行えば、トラブル予防につながります。
修理にかかる費用と作業内容の目安
バックドアが閉まらない場合、原因によって修理費用は大きく変わります。
軽度の部品交換で済むケースもあれば、電動部品やドア全体を交換する必要があることもあります。ここでは代表的な修理内容ごとの費用相場を紹介します。
ロック機構・ストライカー交換の修理費用
バックドアが半ドア状態になったり、ロックが噛み合わない場合は、ロック機構やストライカーの交換が必要です。
部品代は5,000〜15,000円程度、工賃を含めると10,000〜25,000円程度が相場です。
比較的軽度の修理で済むため、費用負担は大きくありません。
ただし部品の摩耗やズレを放置すると、ドア全体が歪んで高額修理につながる可能性があるため、早めの対応が望まれます。
電動バックドアのモーター・センサー修理費用
電動タイプのバックドアは便利ですが、モーターやセンサーが故障すると閉まらなくなることがあります。
モーター交換は部品代が20,000〜40,000円、工賃を含めると30,000〜60,000円程度が目安です。
センサー交換は比較的安く、10,000〜25,000円程度で済むことが多いですが、複数箇所の不具合が重なると高額になるケースもあります。
電動部品はDIY修理が難しいため、専門業者での修理が基本となります。
配線やワイヤー修理の費用相場
内部配線やワイヤーの不具合によって開閉ができないケースもあります。
断線や接触不良の修理は、工賃が中心となり10,000〜20,000円程度が目安です。
ただし、配線束ごと交換が必要になると30,000円を超えることもあります。
症状としては「ドアが途中で止まる」「反応が不安定になる」などが多いため、判断が難しい部分でもあります。
診断を正確に行ってくれる整備工場に依頼するのが安心です。
バックドア全体交換にかかる費用と注意点
事故や大きな歪みによってバックドア自体が閉まらない場合は、全体交換が必要になることがあります。
新品交換では150,000〜300,000円程度、中古パーツを使えば80,000〜150,000円程度で済むこともあります。
ただし塗装や取り付け費用も発生するため、トータルでは高額修理になりやすい点に注意が必要です。
全体交換は車両保険が使える場合もあるため、保険の適用可否を確認することをおすすめします。
修理を依頼するときの業者選び
バックドア修理は部品や原因によって適した業者が異なります。
費用やサービスの違いを理解して選ぶことが、納得のいく修理につながります。
ディーラーと整備工場の違いとメリット
ディーラーは純正部品を使用し、車種ごとの専門知識を持っているため安心感があります。
ただし費用は高めになる傾向があります。
一方、整備工場は部品の選択肢が広く、リビルト品や中古品を使うことで費用を抑えられる場合があります。ディーラーは「安心と品質」、整備工場は「コスト重視」というイメージで選ぶとよいでしょう。
カー用品店で修理できるケースと限界
オートバックスなどのカー用品店でも簡単な修理や部品交換に対応してくれる場合があります。例えば、ストライカー交換やセンサー調整といった比較的軽度な作業は依頼可能です。しかし、配線トラブルやドア全体の交換など高度な作業は対応できないことが多いため、症状によってはディーラーや整備工場へ回されます。カー用品店は「簡単な修理や応急処置向き」と考えると良いでしょう。
見積もり比較で注意すべきポイント
修理を依頼する際は、複数の業者で見積もりを取り比較することが大切です。
その際、部品代と工賃の内訳を確認し、作業内容が明確かどうかをチェックしましょう。
同じ修理内容でも、ディーラーと工場では数万円単位で差が出ることもあります。
特に電動バックドアの修理は高額になりやすいため、費用と保証内容のバランスを見極めることが重要です。
修理保証やアフターサービスを確認する
修理を依頼する際は、修理後の保証やアフターサービスがあるかどうかも必ず確認しましょう。
保証が付いていれば、同じ不具合が再発したときに無償で対応してもらえる場合があります。
また、アフターサービスが手厚い業者は信頼度も高く、長期的に安心して車を任せられます。
単に安さだけで選ばず、保証やサービス内容を含めて総合的に判断することが失敗しないコツです。
再発防止のためのチェックポイント
バックドアの不具合は、一度修理しても使い方や日常の管理によっては再び発生することがあります。
そこで、日常点検や荷物の積み方、メンテナンス習慣を意識することで、再発を防ぎ安心して車を使うことができます。
ここでは具体的なチェックポイントを紹介します。
日常点検で確認すべき部品や動作
バックドアの再発防止には、日常点検が欠かせません。
まず確認すべきはロック機構やストライカーが正しく噛み合っているかどうかです。半ドア状態になりやすい場合は摩耗や位置ズレのサインかもしれません。
また、電動タイプであれば、モーターがスムーズに動作しているか、途中で止まったり異音がしないかを確認しておくことが大切です。
配線に緩みがないか、ドアヒンジ部分にガタつきがないかもチェック対象となります。
普段から開閉時に少しでも違和感があれば早めに整備工場で点検することが、故障の再発を防ぐポイントになります。
荷物の積み方で注意したいポイント
バックドアが閉まらなくなる原因のひとつに「荷物の積み方」があります。大きな荷物を無理に詰め込むと、ドアが完全に閉まらなかったり、ストライカー部分に負荷がかかって摩耗が早まることがあります。また、柔らかい荷物でも位置によってはロック部分に干渉し、閉まりにくくなることがあります。特にアウトドア用品やスーツケースなどを載せる際は、ロック部分やセンサー付近を避けるように積み込むことが重要です。荷物の固定が不十分だと走行中の振動でズレてドアに当たり、閉まりが悪くなる原因になるため、ラゲッジルーム内での配置と固定にも注意を払いましょう。
定期的な清掃・メンテナンス習慣の大切さ
バックドアの不具合を防ぐためには、定期的な清掃やメンテナンスが欠かせません。
ストライカーやロック部分には砂やホコリが溜まりやすく、異物の挟み込みによって正しく噛み合わなくなることがあります。
定期的に柔らかい布で汚れを拭き取り、必要に応じて潤滑剤を塗布することで動作がスムーズになります。
また、電動タイプの場合はセンサー部分の汚れが誤作動につながることもあるため、掃除を習慣化することが効果的です。
さらに、年に一度は整備工場で点検を受け、ヒンジや配線の劣化がないかを確認すると、長期的に安心して使い続けることができます。
まとめ
バックドアが閉まらないトラブルは、部品の摩耗やセンサー不具合といった原因だけでなく、日常の使い方や管理方法にも大きく影響します。
修理後も安心して車を使うためには、点検・荷物の積み方・清掃といった日常的な習慣を身につけることが重要です。
再発防止のために少しの手間をかけることで、大きな故障や高額修理を未然に防ぐことができるでしょう。